50 / 115
第二章
19新聞
しおりを挟む隣国で新たな婚約式が行われた。
長らく独身を貫いていたエンゼル王国の王弟殿下の婚約発表だった。
国中を上げてお祝いと、新聞にも書かれていた。
エセリア王国からも数名の記者がインタビューをしていた。
その女性記者は、以前からウィスター家と懇意な関係だった。
カナリアとランドルフの婚約破棄になった時はできるだけ派手に騒がれないように努めてくれたが、祖国を出た後に連絡を取り、エンディミオンとの婚約が決まった事を告げると喜んでくれた。
「お前の書いた記事、爆発的に売れているな」
「噂のダイヤモンドプリンセスはあの女官殿だろ」
アイーリャ・サウス。
女性記者の中でも優秀な新聞記者でもある。
「どうやってそんな情報を?」
「カナリア嬢とはそれなりのお付き合いをさせていただいていので」
ゴシップ記事を書いて稼ぐような三流記者ではないアイーリャはランドルフの一件で、ウィスター家に向かい訴えるべきだと告げた。
女性の立場が弱い中、アイーリャ自身も戦っていた。
何より、婚約破棄の問題は先方にあるのだと厚く語ったのだが、内々で国を出る事を教えられたのだ。
ならば、その報道を派手にすべきだと交渉したのだ。
「同じ働く女性としても同士でしたので」
「上手くやったな。対するあの馬鹿坊ちゃんは」
もう一つの記事を同僚が見て呆れていた。
最高の婚約式を上げて、玉の輿を成功させたカナリアとは正反対に不幸の最中にいるのは噂の人物だった。
「大変です!あの馬鹿息子から苦情が!」
「お帰りいただけ。アポ無しでなんて随分と失礼だな」
「それが既に乗り込んできています」
例え貴族であっても乗り込んでくる場所を間違えている。
門前払いをしても動こうとせずに、記事に関して文句を言っているらしいが。
「書いた本人に言えばいいでしょう」
「相手にされなかったらしい」
「それで私に?馬鹿じゃないの?いいえ、馬鹿だったわ」
記事を書いた若い女性記者は正論を言って相手にしなかった。
しかも夫が弁護士であるある事から法的手段に出るとまで言い出したので、今度は過去の知人に過ぎない記者を呼びつけているのだから。
「私はカナリア嬢と知り合いで会ってあの紐男とは関係ないのだけど」
「大変です編集長ぉ!」
「これは捨て置けないわね」
他の記者もお手上げ状態で騒ぎを大きくされては困ると思い、本人に会いに行くとに決めたのだった。
55
お気に入りに追加
4,024
あなたにおすすめの小説


婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?
Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」
私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。
さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。
ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

何故、わたくしだけが貴方の事を特別視していると思われるのですか?
ラララキヲ
ファンタジー
王家主催の夜会で婚約者以外の令嬢をエスコートした侯爵令息は、突然自分の婚約者である伯爵令嬢に婚約破棄を宣言した。
それを受けて婚約者の伯爵令嬢は自分の婚約者に聞き返す。
「返事……ですか?わたくしは何を言えばいいのでしょうか?」
侯爵令息の胸に抱かれる子爵令嬢も一緒になって婚約破棄を告げられた令嬢を責め立てる。しかし伯爵令嬢は首を傾げて問返す。
「何故わたくしが嫉妬すると思われるのですか?」
※この世界の貴族は『完全なピラミッド型』だと思って下さい……
◇テンプレ婚約破棄モノ。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。

王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話
ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。
完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

思わず呆れる婚約破棄
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある国のとある夜会、その場にて、その国の王子が婚約破棄を言い渡した。
だがしかし、その内容がずさんというか、あまりにもひどいというか……呆れるしかない。
余りにもひどい内容に、思わず誰もが呆れてしまうのであった。
……ネタバレのような気がする。しかし、良い紹介分が思いつかなかった。
よくあるざまぁ系婚約破棄物ですが、第3者視点よりお送りいたします。

【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ
水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。
ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。
なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。
アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。
※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います
☆HOTランキング20位(2021.6.21)
感謝です*.*
HOTランキング5位(2021.6.22)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる