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第二章
19新聞
しおりを挟む隣国で新たな婚約式が行われた。
長らく独身を貫いていたエンゼル王国の王弟殿下の婚約発表だった。
国中を上げてお祝いと、新聞にも書かれていた。
エセリア王国からも数名の記者がインタビューをしていた。
その女性記者は、以前からウィスター家と懇意な関係だった。
カナリアとランドルフの婚約破棄になった時はできるだけ派手に騒がれないように努めてくれたが、祖国を出た後に連絡を取り、エンディミオンとの婚約が決まった事を告げると喜んでくれた。
「お前の書いた記事、爆発的に売れているな」
「噂のダイヤモンドプリンセスはあの女官殿だろ」
アイーリャ・サウス。
女性記者の中でも優秀な新聞記者でもある。
「どうやってそんな情報を?」
「カナリア嬢とはそれなりのお付き合いをさせていただいていので」
ゴシップ記事を書いて稼ぐような三流記者ではないアイーリャはランドルフの一件で、ウィスター家に向かい訴えるべきだと告げた。
女性の立場が弱い中、アイーリャ自身も戦っていた。
何より、婚約破棄の問題は先方にあるのだと厚く語ったのだが、内々で国を出る事を教えられたのだ。
ならば、その報道を派手にすべきだと交渉したのだ。
「同じ働く女性としても同士でしたので」
「上手くやったな。対するあの馬鹿坊ちゃんは」
もう一つの記事を同僚が見て呆れていた。
最高の婚約式を上げて、玉の輿を成功させたカナリアとは正反対に不幸の最中にいるのは噂の人物だった。
「大変です!あの馬鹿息子から苦情が!」
「お帰りいただけ。アポ無しでなんて随分と失礼だな」
「それが既に乗り込んできています」
例え貴族であっても乗り込んでくる場所を間違えている。
門前払いをしても動こうとせずに、記事に関して文句を言っているらしいが。
「書いた本人に言えばいいでしょう」
「相手にされなかったらしい」
「それで私に?馬鹿じゃないの?いいえ、馬鹿だったわ」
記事を書いた若い女性記者は正論を言って相手にしなかった。
しかも夫が弁護士であるある事から法的手段に出るとまで言い出したので、今度は過去の知人に過ぎない記者を呼びつけているのだから。
「私はカナリア嬢と知り合いで会ってあの紐男とは関係ないのだけど」
「大変です編集長ぉ!」
「これは捨て置けないわね」
他の記者もお手上げ状態で騒ぎを大きくされては困ると思い、本人に会いに行くとに決めたのだった。
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