婚約者は愛を選び、私は理を選んだので破滅しても知りません!

ユウ

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第二章

2女王陛下

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セラフィーヌ・エンゼル。
長い間女王陛下としてこの国を守り続け、未だに男尊女卑が強い中敵国に一切の弱みを見せなかった事から敵国には女帝と恐れられていた。


未だにその影響力は強く、エンゼル王国に攻める事ができないのは、女帝を敵に回すのがどれだけ恐ろしいのか理解しているからだった。


「遠路はるばるようこそ」

「はっ…はい」


あの後、セラフィーヌに招かれてお茶会に誘われた。


「本当なら女子会といきたかったけど」

「女子会?」

「何か文句でもありまして?」

「ありません」

笑顔ながら冷たい瞳に射抜かれエンディミオンは言葉を飲み込んだ。


「まったく、息子達はどうしてこうもダメダメなのかしら?レオンハルトも呆れていたけど、エンディミオン。貴方はもう少しマシだと思ったのに」

「そこまでいいますか」

「お黙りなさい。貴方が私が視察に出ている間に帰国する魂胆は丸見えですわ。だから通常の視察を早くしたのです」

「母上、大事な外交ですよ」

「この私が脅せば逆らう国があるとでも?少し脅せば簡単ね」

堂々と他国との大事な外交の場で脅したという母に眩暈がする。


「何時まで経ってもフラフラしている貴方がようやく婚約者を連れて帰国となれば、どんな手を使っても帰国するに決まっているでしょう?」


「母上…」

泣きそうな顔をするエンディミオンは今すぐこの場から逃げたかった。


「こんな馬鹿息子ですが頼みますわ。まさか、カーラのお孫さんが来てくださるなんて」

「え…」

「これ以上の縁談はありませんわ」

「王太后陛下、祖母をご存じなのですか」


カーラ・ウィスター。
アンデスの母であり、カナリアの祖母に当たる。
ウィスター家が子爵を賜る事になったのはカーラの功績が多かった。


「カーラは私の親友ですの。彼女が留学に来た時に知り合ったのです」

「知りませんでした」

「そうでしょうね。秘密にしていたのでしょう」


懐かしむような表情をしながら楽しそうに思い出話に花を咲かせる。


「昔から優秀だった彼女は男だったら宰相にもなれたでしょうね」

今よりもずっと女性の地位が低く、女性が王宮仕えはできても文官になれるのは難しかった。


しかも平民では尚更だった。
今以上に差別と偏見が酷かった時代だった。


「カーラは本当に優秀で私は良く勉強を見ていただきましたの。そうそう乗馬も剣術も…昔は大人しくて内気でしててね」

「なんの冗談です」

「エンディミオン、今すぐ稽古をしますか?」

「ご遠慮します」


暴れん坊女王とも呼ばれるセラフィーヌの過去をどうしても信じられないエンディミオンだった。


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