婚約者は愛を選び、私は理を選んだので破滅しても知りません!

ユウ

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第一章

30愛の代償

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オイシス家は下級貴族で男爵家だった。
何代も続く貴族と異なり下級貴族で特に男爵家は事業をして成りあがった家が多かった。



お金で爵位を買うのも男爵位が多いのだが、彼等が貴族社会で生きて行くには高位貴族と懇意にしている商会と良い関係を作る事。


そして彼等の援助を得て大きな改革をするのが必要だった。
エスターは商人からも信頼があり、ミリヤは芸術にも精通している事から大商会やギルド長からも好かれていた。


オイシス家を支えているのはこの二人がいたからだ。
しかしその二人が去ったとなれば誰も関わらない、むしろ関りを断つのは当然だった。


「待ってください!貴方は父の代から…」




「ああ、君の父親とは親しくしていた。だからこそ今日まで良い付き合いをして来たというのに」

「ならば!」


ランドルフが声を上げて止めたのは、家同士の付き合いのある商人だった。


「誠実なエスターだからこそ私もできる限りの事をしようと思った。君が最低な事をして宰相閣下の怒りを買っても私は最後まで味方でいようと…」

「私は…」

「君の思いなんてどうでもよい。世間一般では子爵家との婚約を無理に頼みながら、愛人と不義を行い婚約者を捨てた非道な男。それだけだ」

「そんな…」

「事実君は話し合いもせずに陛下に許可もなく婚約破棄をした。それなのに、訴えられなかったのはカナリア嬢の恩情…いや、これ以上王家に恥を晒したくなかったのだろう」

「なっ…」

「カナリア嬢は聡明だ。君には義務感はあれど愛情はない…彼女は骨の髄まで王家に身を捧げた方だ」


まるでランドルフと婚約破棄になった事よりも王家に恥をかかせることの方が許せないと言いたげだった。


「私達も王族の怒りを買うの避けたい。だが、オイシス男爵は大事な友人だ。そそいてエスターの後見人もあるが…その彼を追い出した君を庇う理由はない」

「待ってください」

「エスターを追い出したとなれば別だ。彼は私は彼の後見人でもあったのだからな」



エスターを誰よりも可愛がっていた。
我が子のように思い、時には厳しくして一人前の商人として鍛え上げた。

そのエスターを邪魔者にして追い出した事は許される事ではない。


「息子にも今後一切かかわらないように伝えます」

「待ってください!」


愛の対価により失ったのはあまりにも大きすぎた。



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