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第二章
22黒い雷
しおりを挟む聖女の鏡が粉々に砕け散り、ミーシャは魔女になってしまった。
「ジュリエット…アンタだけは許さない」
真っ黒なドレスに片手には大きな槍を片手に持つ。
「魔女の槍」
「クソっ、まさかこんな」
憎しみの強さが魔女になるきっかけになるとは迂闊だと思ったが時すでに遅しだった。
「ミーシャ様」
「なんて恐ろしい」
傍にいた侍女が怯えた表情で見ているのに気づいたミーシャは槍を握る。
「ぐっ!」
「きゃあああ!」
一人の侍女の胸を槍で突き刺し殺し、血が噴き出す。
「いやぁぁ!」
「何を!」
残った侍女は悲鳴を上げて逃げようとするも腰が引けて動けなかった。
「死ね」
槍を天井に突きつけると雷撃が落ちる。
「ジュリエット!」
「アルフレッド!前に出るな!」
レインが咄嗟に結界を敷いて守ろうとするも魔女の力に対抗などできるはずもなく。
雷撃は結界をぶち破ってしまった。
「うっ!」
「レイン!」
「お下がりください聖女様!アルフレッド殿」
幸いにも結界を敷いて二人を庇った事で軽傷で済んだが、次の雷撃が二人を襲って来るも騎士達が剣を突き上げ避雷針となった。
「お前達!」
「そんな!」
ジュリエットを守るべく雷撃の攻撃をその身に受け騎士達はその場に倒れてしまう。
近衛騎士達も同様に雷撃の標的となり倒れこんでしまう。
「馬鹿な男…雑魚には相応しいけど」
「ミーシャ!」
「どいつもこいつも聖女って馬鹿じゃないの」
倒れこむ騎士達はかろうじて息はあるが、このままでは死んでしまう。
「すぐに治療を!」
「ジュリエット様…」
「しゃべらないで!」
急いで聖魔法を使おうとするも。
「最後に…嬉しゅう…ございました」
「守り出来て良かった」
「聖女様…」
彼等にとって聖女はジュリエットだった。
身分関係なく分け隔てなく接し、時には戦場に出向き共に戦ってくれたジュリエットを敬愛していた。
「どうか魔女を…」
「邪魔よ」
騎士達の言葉を最後まで聞く事もなく槍で胸を突かれる。
「いやあぁぁぁぁ!」
黒い槍で胸を突かれた騎士はそのまま灰になって消えてしまった。
あまりにも惨い最期を見せられたジュリエットの悲痛な悲鳴が響き渡っていた。
「次は…」
「リアン様!」
守ってくれる騎士はもういない。
レインは重傷を負って動けず、アルフレッドはジュリエットを庇う中、他の騎士に守られ軽傷だったリアンを見たミーシャの標的が決まった。
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