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第一章

6騎士団

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憂いの表情をするジュリエットを騎士団達は痛々しそうに見つめていた。

王宮に集う聖女達は必要最低限しか外に出る事はない。
ただ、ジュリエットだけは違っていた。


自ら危険な場所であっても自分に得が無くとも、向かい。
時には何もできない事で、八つ当たりのような目にあっても真摯に向き合って来た。


国民が貴族に、王族に疑念を抱く中。
同じ国の人間がいがみ合う事が無いように交渉の場を設けたりと尽くして来た。


時には戦死した騎士の家族に丁寧な手紙を送り民の心を繋ぎ止めていた。
だがその功績は全てイライザが美味しい所だけを奪っていた。



「嘆かわしい」

「滅多のことを言うんじゃない」


ジュリエットの護衛を務める第二騎士団達は不満を零す。
誰よりも国に就くし、見返り無く働いているのはジュリエットであるのに、その思いも働きも顧みられることはない。



「天は…女神はどうしてこんな惨い仕打ちを」

「おい…」

「そうではありませんか。私はローチェスト領地出身です」


ローチェスト領地で生まれ育った騎士達はジュリエットがほとんど脅しに近い形で攫われ無理矢理聖女に召し上げられた後に、過酷な修行を強いられて事を知っていた。


聖女の修業と言えど、幼い子供に惨い仕打ちを行い。
当時は聖女が揃っていない事から無理矢理結界の力を引きだす為に虐待に近い行為をしていたのだ。


時には聖女の勤めが果たせなければ父親や領地はどうなるか解らないと脅しをかけていたのだから。


「ジュリエット様が余りにも気の毒でなりません」

「あんな馬鹿王子の婚約者等」


第二騎士団はジュリエットを傍で見守って来たからこそオルヴィスと結婚すれば不幸になる事が解っていた。


「団長、私はあの王子がジュリエット様を軽んじ、侮辱しているのが許せません」

「この際闇に投じるしか…」

「馬鹿な事を言うな」


ジュリエットの為にオルヴィスを亡き者にする事すらいとわない彼等に団長のレイン・ハルバートは部下を咎めながらも、自分も同じことをしかねないと思った。


(アルフレッド・・・)



五年前の事は今も忘れることができなかった。
同じ王立学園で友人だったアルフレッドとレインは同年代で仲が良かった。


聖女として召し上げられ自由の無いジュリエットを救う為どれだけの努力をしていたか知っていた。


だからこそ。


(ジュリエット様を守らなくては…)


アルフレッドの為にもジュリエットが万一王族に切り捨てられることがあるならば、騎士として、友人として守る覚悟をしていた。


そんな事にはならない事を祈っていた。


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