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第一章
14逆恨み~ルーナside
しおりを挟む両親からの叱責と、何としてもリナに勝たなくてはならない。
だけど、私が焦れば焦る程上手く行かない。
対するリナは周りから認められ、商人貴族の娘でありながらもサロンでも有名になっていた。
平民が参加するサロンで人気なって何が嬉しいのか。
そんな折、私はリナの婚約者のフリード・カスケードと関係が上手く行ってない事を知った。
普段からすました顔をしているのに恋愛に関しては奥手だった。
だから私は、一番確実な方法で破滅させる方法を思いついた。
フリードの家は伯爵家であるけど、一時家が傾いたと聞くが、今は持ち直し資産家としても成功している。
リナにはもったいないわ。
他の男よりもお金も持っているし素敵だから。
「まったく頭が固い」
「フリード、気にする事はないわ。リナは商人貴族だから貴族の常識が欠けているのよ」
「ありがとうルーナ」
可愛げがない女。
男が望むのは小賢しい女じゃない。
何も知らない女を、男に甘えてくれる女を好むの。
だから奪ってやろうと思った。
フリードは私に好きになるのに時間はかからなかった。
「どうして貴方はフリードなの。私の親友の婚約者だなんて」
リナは恋愛の機微には愚かなの程に馬鹿だった。
二人きりで会っていても疑いもしない。
デートの費用はボロネーゼ家のお金を使って。
時にはリナの名義で懇意にしている店で食事に行き、散財をした。
最初は上手く行っていた。
だけど、あの男。
ボロネーゼ家の見習い執事が、お金を勝手に使っているのをかぎつけた。
「お嬢様をこれ以上侮辱しないで欲しい。薄汚い女が」
「は?」
「何も知らないと思ったか」
私が黙ってリナの名義でお金を引き出している事や、デザイン画を盗んでいた事に気づいていた。
この業界で他所の店のデザインを盗むことは少なく無い。
どんな良いデザインでも、商品にしてしまった者の勝ちだから。
でも独占権利になっている物を自分の作った物を自分の商品として売るのは罪だった。
私達でリナの考えたデザイン画を盗んで他の商会に譲っていた。
「どうするんだルーナ!ジェイドはあの通り堅物だ」
「何とかしないと…」
「狼狽える必要はない」
このままでは訴えられると思った私に、デザイン画を盗むように指示していたあの方が妙案を与えてくれた。
「ならば、あの男を消せばよい。邪魔な恩と一緒にな?」
「え…」
「成功すればボロネーゼ家の財産の全ては君達の物だ。それ以外にも大金を得ることができる」
「本当ですか」
あの女を完璧な形で潰せる。
そして私達はお金の苦労をすることなく優雅に暮らせると聞いた。
だからその話に乗ったのだ。
あの方お言葉通り私達の計画は完璧だった。
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