名乗る程でもありません、ただの女官で正義の代理人です。

ユウ

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第一章

13邪魔な女~ルーナside

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ずっと大嫌いだった。
嫌悪感を抱き、殺してやりたいと何度も思って来た。


私は子爵家の令嬢として生まれた。
だけど、裕福ではなく、貴族街に住むことはでいなかった。

ドレスだってもっと華やかな物が欲しい。
本当はもっと多くの使用人に囲まれて優雅に暮らせるはずだった。


私は子爵令嬢如きで終わる人間じゃない!


なのに、元庶民でパッとしないリナの父親が国に貢献した事で伯爵位を得た。

元は男爵で子爵になったのもお金の力なのに!


母親だってしがないお針子じゃない!


「ルーナ、お前はあんな元平民とは違う。負けるんじゃない」

「貴女とあの子は違うのよ」


表向きは仲良くしていても蹴落とそうと考えていた両親と私。
そうよ、あんなのに負けるはずがない。


だから私は。



「リナ、新しいっデザイン画?」

「ええ、まだ試作段階なんだけど」


商会の手伝いをしているリナは新しい服のデザインを考えていた。
ボロネーゼ商会でも売り出している。


私は言葉巧みにリナのデザインの一枚を盗んだ。


でも、ボロネーゼ商会の服は普通の服の作り方ではなく。
コート一着でも縫い方が複雑で同じように作られなかった。


「ルーナ!デザイン画だけではなく型紙も何故盗んでこなかった」


「そうよ。針子に作らせた売ったけど、客からクレームが出ているわ」

「おかげで、猿真似だと侮辱を受けたじゃないか!この役立たずが!」


私を罵倒する両親。
デザイン画だけでは構造が解らない。

でも、型紙は持ち出していないし。
型紙だけでなく縫い方も特殊だったらしく、サンプルを盗みだしたけど。

完全に再現させようとしても。

「このコートは私達では無理です。お針子は天才です」

「なんて素晴らしい縫い方でしょう」


賛美してんじゃないわよ!
このコートを作ったのはリナで更に私を苛立せた。


そんな中、リナが個人経営を任された。
お父様は対抗すべく私にも服飾店の経営をさせた。


同い年で同じ時期に服飾店を開店させた。
宣伝にお金をかけ、サクラを用意して初日は圧倒的に私の店の方が多かった。


私に好意を寄せる男達にも声をかけた。

でも、その一週間後。
着々と顧客を増やしたリナは一か月後にはリピーターを増やしていた。
対する私の店は一か月後に潰れてしまった。



「ルーナ!」

「私はちゃんとしたわよ」

「だったら何故潰れた!客から不良品を売りつけたと苦情が来た!接客も悪いと」

「なんて事なの!貴女の店の客はあの娘の店に流れたと」


頭の固い中年女は重いコートは気に入らないらしい。
見た目だけは派手だとかいちゃもんをつけた。


だけど、私の店が潰れた事で私達の生活は困窮した。


全てはリナの…

ボロネーゼ家の所為よ!


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