名乗る程でもありません、ただの女官で正義の代理人です。

ユウ

文字の大きさ
上 下
12 / 19
第一章

11許せない~フリードside

しおりを挟む



俺は由緒正しき家柄のカスケード伯爵家の長男として生まれた。
何代も続く名門貴族であるが、先代の借金の所為で我が家は立ち行かなくなってしまった。

そこで資産家の令嬢と婚約し援助を受ける見返りに俺が人身御供のように差し出された。

相手は下級貴族で金の力で爵位を得た金の亡者だった。
商人貴族如きと結婚しなくてはなたなかった。


婚約者のリナ・ボロネーゼは見た目は美しいがケチだった。
馬車は辻馬車を使うか、貧相な物ばかりだった。


外で食事をしようとしても安い店に入り、貴族専用の高級店に入る事を良く思わない。

どれだけケチなんだ。
商会で稼いでいるのだから良いだろうと思ったが。


「ボロネーゼ商会のお金は私達の好きにできるお金ではありません」


そういって好きに俺に金を使わせなかった。
いずれ全て俺の物になるんだ。

好きに使おうが俺の自由だ。


なのにあの女は小賢しい。
いう事も聞かず、父親も質素な生活をしている。

食事だってもっと豪勢な物を食べれば良いのに無駄遣いをする。


「商会で得た利益の一部は寄付です」


「は?」

売名行為をそんなにしたいのか。
人気取りの為に馬鹿馬鹿しいと思ったが。


そんな時だった。
俺は二人が話しているのを聞いてしまった。


「リナ、今度の寄付はどの程度だ」

「この程度はいかがでしょう。ジェイドが頑張ってくれて」

「そうか。流石だ。君がカスケード家に嫁いだ後はジェイドに任せる事になる」

「ええ、ジェイドならば安心です」


この家の全ては俺の物になるはずだ。

何を言ってるんだ?


「本当はリナが跡継ぎにと思ったが」

「私はカスケード家に嫁ぐ以上は難しいかと。ですがジェイドならばこの家を盛り立ててくれるでしょう」


何を言っている?
ジェイドとはあの不愉快な男か!

俺が命令しても全くいう事を聞かない。



「おいジェイド、今から馬車を用意しろ」

「あちらの馬車はお客様専用でございます」

「使用人の癖に主人の命令を聞けないのか!」

「言葉ですが私の主はボロネーゼ伯爵様でございます」



表情の読めない顔で俺の命令を聞かない。
この家は全て俺の物になるんだ。


俺の言う事を聞かない出来損ないのあの男に嫌がらせをしてやった。


なのにあの男は俺の嫌がらせを交わしていく。
見下すような目で見て、俺が商会の仕事を奪うが失敗に終わる。


「お嬢様、お任せを」


「ありがとうジェイド」

俺の失敗をフォローして俺を更に馬鹿にした。



なのにあいつが。

あんな男がボロネーゼ家の後継者だと?
全て俺の物となると思っていたのに、こんな事許されるはずがない!


しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

やり直すなら、貴方とは結婚しません

わらびもち
恋愛
「君となんて結婚しなければよかったよ」 「は…………?」  夫からの辛辣な言葉に、私は一瞬息をするのも忘れてしまった。

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

優しく微笑んでくれる婚約者を手放した後悔

しゃーりん
恋愛
エルネストは12歳の時、2歳年下のオリビアと婚約した。 彼女は大人しく、エルネストの話をニコニコと聞いて相槌をうってくれる優しい子だった。 そんな彼女との穏やかな時間が好きだった。 なのに、学園に入ってからの俺は周りに影響されてしまったり、令嬢と親しくなってしまった。 その令嬢と結婚するためにオリビアとの婚約を解消してしまったことを後悔する男のお話です。

婚約破棄されなかった者たち

ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。 令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。 第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。 公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。 一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。 その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。 ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。

王子は婚約破棄を泣いて詫びる

tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。 目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。 「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」 存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。  王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

〖完結〗もうあなたを愛する事はありません。

藍川みいな
恋愛
愛していた旦那様が、妹と口付けをしていました…。 「……旦那様、何をしているのですか?」 その光景を見ている事が出来ず、部屋の中へと入り問いかけていた。 そして妹は、 「あら、お姉様は何か勘違いをなさってますよ? 私とは口づけしかしていません。お義兄様は他の方とはもっと凄いことをなさっています。」と… 旦那様には愛人がいて、その愛人には子供が出来たようです。しかも、旦那様は愛人の子を私達2人の子として育てようとおっしゃいました。 信じていた旦那様に裏切られ、もう旦那様を信じる事が出来なくなった私は、離縁を決意し、実家に帰ります。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全8話で完結になります。

処理中です...