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第一章
10悪事
しおりを挟む夜にカスケード商会に侵入して金庫の中を調べた。
すると中には今までお金を騙しとった人達の名前がずらり。
他にも騙す予定のリストが乗っていた。
それと一緒に、権利書と借用書が入っていた。
そしてもう一つ。
「これを」
「この薬は」
金庫の中に隠してあったの。
金庫の中からこの国では禁止されている薬が出て来た。
「闇取引されているはずよね?」
「ああ」
「床を調べたら麻薬売買のリストも出て来たわ。他にもクソ息子、商会の使用人に手を出しているわ」
「は?」
金庫から一部盗んで来た写真を見せる。
「恐らく権力を使って立場の弱い子に関係を迫っている。写真と映像を納めておけば脅迫できるわ」
「最低だな」
「蛙の子は蛙の子」
何様のつもりかしら?
婚約者の名前を使って他の商会からも借金をしている。
「後、新作発表の服だけど。偽物の生地を使っているわ」
「デザイン画?だが…」
しかもオリジナルだと言うけど、このデザイン画はあの女がデザインしたんじゃない。
「デザインしたのはリナ嬢よ。生地の仕入れ先には多額の借金をさせ返せないなら偽の生地を作らせているわ。他にも調べたら宝石のイミテーションを見つけたわ」
「あいつ等…」
「背後にいる貴族の豚侯爵からの手紙も入っていた」
証言よりも証拠の方がずっと確実だし信憑性が高い。
「この薬も証拠品として使える」
「それで金庫にあるのは?」
「巨大なゾウも一瞬で出てしまう即効性の下剤」
麻薬とは人を狂わせる薬であるが、快楽を求める人間や興味本位で使う人間もいる。
あの薬を少量使って余興に使えばどうなるか。
「高額で売りつけた麻薬が下剤なんて知ったらどうなるかしら?」
「お前の方がずっとゲスに見えるよ」
「悪人なら問題なし」
だから目の前にいる屑もいいわけ。
「さぁ吐きな」
「ひぃぃ!」
「勘弁してください…俺達は金を貰って少し店で暴れて!」
「そんで商会の娘にちょっと手を出せば金を」
男達は懐から小瓶を落す。
「フーンこれで大人しくさせた…あら?」
服の中にもう一つ興味深い物が出て来た。
リナ令嬢が王都から離れているのに浮気した容疑をかけることができた理由が解った。
「思ったよりも早く解決しそうね」
「ああ、だが退路を断つ必要がある」
「勿論」
万一追い込んだとしても逃げられては意味がない。
詐欺団体と豚侯爵も揃って豚箱にいれてやるわ。
「あんな屑野郎には臭い飯がお似合いよ」
「あっ…あの、俺達は」
「もう帰っていいですか?」
使える物は何でも使う。
それが悪人であろうと利用できる物は利用してやる。
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