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第一章
2女官
しおりを挟むこれが事件詳細とされているが、自殺するにしても違和感が多かった。
ボロネーゼ伯爵令嬢が心を壊して自殺する事はおかしいとは思わないが何故普段着のまま自殺を図ったのか。
調査した書類に目を通したけど、あまりにも不自然だった。
貴族の令嬢が自殺する時は毒を飲むか川に飛び降りるケースが多い。
両親が営む商会で首を吊るなんて、おかしい。
家族関係が悪く両親に恨みを持っていたのならば、なくはない。
「おかしい」
「何がだ」
文官であり同僚の、アルフレット・バイトル。
「自殺するにしても不審な点が多すぎる。自殺の仕方もおかしいわ。さっき、調査員にハニトラ仕掛けて写真を盗んだんだけど」
「盗むな!何やっているんだお前は」
「まぁ、まぁ」
頭を抱えるアルフレッドパートナーを組んでいる。
最年少で文官秘書となった後に経験を摘んで文官になる程の優秀さはありが真面目過ぎる為同僚から煙たがられている。
仕事が恋人だった。
「この国の問題をどうにかするのが私の仕事。調査員として来ているのよ」
「解っているが…」
ちなみに同盟関係にあるグランパニア帝国の人間である事を知っている。
幼少期はこの国で過ごしていた私は彼とは幼馴染だった。
私が帝国に行ってからも手紙のやり取りをかしていたが、今回私が帝国に行く際に協力者となってくれた。
「長官も頭が痛いわね」
「言うな。今一番頭を抱えているのは俺だ」
私が異色の経歴で侍女をすっ飛ばして女官になった事はアルフレッドを悩ませただろう。
女官になるには推薦状と、それに見合う教養が必要になる。
侍女になる為の試験以上に難関であるのだけど、私はグランパニアで女官を勤め、護衛も兼任していた事もあり問題はなかった。
侍女からの苛めもあったけど。
「お前を苛めた侍女が泣きながら退職届を提出してその後に上司も依願退職して来たぞうだ。正直に言え、何をした」
「特に何も?」
そう、私は何もしていない。
彼女が勝手に自爆してくれたのだ。
自爆するように仕組んだのだけど。
その侍女は仕事をさぼり、見ない侍女に仕事を押し付け裏で不正をしていたのだ。
王宮は広い。
特に文官達が管理しきれない場が多い。
そんな隙を狙って不正を行い、自分の懐にお金を入れていた。
古参侍女は集団でおこなうものだから、解りにくかった。
しかし五年前に文官長が代わり、彼が帳簿を調べて王宮内の赤字を徹底的に調べた。
その結果。
「本当に怖いわね?侍女は主の懐刀なのに、主に寄生する害虫だったなんてね」
「言い方…」
「甘い汁だけ吸って本当に不愉快極まりないわ」
汗水流して働く民の税金を何だと思っているのか。
何時も火の粉を被るのは民ばかりで、何も作らない腐った連中が得をする。
そして今も泣いている乙女がいる。
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