兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!

ユウ

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番外編

シェパード⑦

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面会人が来たと聞かされ俺は希望の光を見出した。
あの使えない弁護士が俺を救い出す方法を見つけ出したのだと思った。


しかし――。


「お久しぶりですわね」


「なっ…ミリアル?」


「馴れ馴れしくお嬢様を呼びしてにしないでください。身の程を弁えなさい」


面会に現れたのはミリアルと冴えない弁護士だった。


俺を蔑んだ目で見ているこの男、何様だ?
いや、今はそんな事よりもだ。


「ミリアル!助けに来てくれたんだな!早くここから出してくれ…君のこれまでの無礼は許してやる」


あんなことになったがミリアルの本位だったわけではない。
おそらく親に何か言われたのだろう。


俺と婚約破棄になっても未だに独身であるということは俺を忘れられず、俺の保釈金を出す為に面会に来てくれたのだろう?



「馬鹿が悪化してますわね」

「は?」

「何所をどうしたらどうなるのかしら?私は代理人として来ましたの」

「代理人?」

「本来なら私だけで良かったのですがね」


さっきから偉そうな弁護士に苛立つが、何より不愉快だったのはミリアルの態度だ。


「何を言っているんだ」

「貴方こそ何を言ってますの?私は正直二度と会いたくありませんが、マリー様のお手を煩わされたくなかったので」

「本来なら結婚詐欺をされた被害者のお嬢様がここまでする必要はなかったのですが」

「いいのよ。私は今マリー様にお仕えする身ですもの」


今何と言った?
ミリアルがマリーに仕えるだと?



「マリー様は今では女伯爵を賜る方ですの」

「は?」

「女性で爵位を賜るのも異例ですが伯の地位を与えられるなんてまずないことですの。夫にアンリ様は侯爵の地位を賜りロイヤルファミリーの仲間入りですわ」


「嘘だ!そんなありえない!」

「あら?何もご存じありませんの?要件の前にお教えして差しあげますわ」


不敵に微笑むミリアル。
過去の俺ならば美しいと賛美をしただろうが、今は悪魔にしか見えない。


聞きたくない。


聞いてはいけないと俺の本能が告げている。


「前公爵夫人と再婚されましたの。しかもおめでたい事にご子息を出産されましたの」

「…めろ」

「オリアナ様は元王族。その方がお子ならば王位継承権はありますわ」

「止めろ…」

「ディアス様は今では公爵の地位を賜っていますの。国王陛下からの信頼もますます…」


「止めろぉぉぉ!」


俺はこれ以上聞いていたくなかった。


どうして俺ばかりがこんな目に!

絶対に認められない。


だが神は更に俺に絶望を味合わせるのだった。


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