兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!

ユウ

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第四章

27天使と悪魔

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マリーが熱で寝込んでいる間に俺はあの二人の処遇を永久労働の罪にするべく動いていた。


「国外追放なんて許さない」


マリーが痛めつけられた苦しみを思えば、国外追放なんて許せない。
正当な方法で裁判で有罪になっても精々懲役10年程度しかならない事は解っている。

身分剥奪、財産没収?
既に借金まみれで罪なんて持っていないんだ。

それがなんだ。
マリーはその何倍も苦しい思いをして来たんだ。


優しいマリーがあそこまで決断するまで追い込んだのはあの二人だ。


「俺だったらあんな生ぬるい方法はしない」

マリーはなんだかんだで優しい。
最後の最後まで情を持って接したからこそ別邸を選んだろうが。


俺はあの二人に恨みしか残っていない。
だからこそ最低な形であの二人を地獄に叩き落した。


公開裁判ではあの二人がどれだけ酷い人間か世間にみせて有罪にした。
だがそれだけでは甘い。


虐待とは一部の人間の主観だと判断する人間が多いからだ。
本人が躾けのつもりだと言えばどうなるか。

もしくは本人が正常な判断能力がなかったか。
そして次に世間にあの二人が同情の余地がない悪党だとしらしめなくてはならない。


世間は正義と悪にわけたがる。
その中でも厄介なのが宗教的考え方と国の法律だ。

法律は時として加害者を守る事がある。


だからこそ公の場で醜態を晒させた後に、アニタ夫人に悲劇の主人公を演じて貰った。
いかに同情を集めたとしても本人達がぶち壊しにしてくれれば良い。

案の定、俺の作戦は完璧だった。


「アンリ様、お手紙が」

「ああ、弁護士からか」


恐らくあの二人の牢屋での素行だろう。
大人しくしているとは思えないが確認をすると――。



「本当に呆れて物も言えないな」


手紙には想像した通りだった。
裁判であそこまで惨敗して置きながらまだ自分達は悪くないと主張し、罵倒を浴びせているらしい。


「本当に精神がおかしいとしか思えないな」

「どうしてここまで図太いのでしょうか」

「ああ、ある意味病だ」

裁判での事を思い出すと真面な思考だとも思えないな。



「今から出かける。マリーの事を」

「畏まりました」


これからある人に合わなくてはならない。
あの二人が二度とお日様の下に出られなくなるようにするために協力してくれる人だ。



「待たせて申し訳ない」

「いいえ、それ程待っていません」


ルポライターのキャメロ・ハンズ。
他国にも影響力があり貴族の悪事や不正を暴く物書きだった。

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