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第四章
13秘め事を
しおりを挟む熱で苦しむマリーの看病をしながら俺はキムを呼び出した。
「お呼びでございましょうか」
「キム、今回はお前に感謝しなくてはならない」
今回の事件はマリー一人で単独で行えばどうなっていたか。
最悪の事態を想定していただろうが、この程度済んで良かった、
本当に。
「お前が手掛かりを残してくれたおかげだ」
そもそも俺達がタイミングよく別邸に辿りつけたのは手がかりを残してくれたからだ。
別邸と言っても複数あるし、あの別邸だと直ぐに解ったのはキムのおかげだが。
「キム。邸で何があったんだ」
「アンリ様…」
「俺は知らなくてはならない」
マリーをここまで追い込むような事があったのだろう。
「俺はマリーの性格を熟知している。例え前科があり最低最悪の人間でも慈悲の心を持って接する女性だ」
ここまでの決断をしなくてはならない理由があるはずだ。
これまで虐げられても耐えて来たのが一番の理由だ。
「アンリ様、聞くに堪えない内容です。私も恐ろしさを感じました」
「ならばだ…」
そんな恐ろしい内容だったのならばマリー一人背負わされるなんて許せない。
未だにあの二人の呪縛から解放されないなんて。
「マリー様はご自分が傷つくよりもアンリ様、そしてシェル様が傷つく方が辛いのです」
「まさか…」
あの二人は幼いシェルまで手を出そうとしたのか?
「もう…いいわ」
「マリー、すまない。起こしたか」
「薬が効いているから熱も引いたわ」
既にずっと起きていたのにも寝たふりをしていたのか。
「キム、ごめんなさいね。私の我儘に突き合わせてしまって」
無理をして起き上がろうとするマリーを支えながら、話し始めた。
「私が話すわ…キムは私の計画をずっと手助けしてくれただけ」
「いいえ、そんな」
キムは悔しそうに唇を噛みしめた。
「あんな外道、殺されても誰も文句を言いません。あんな非道な真似を…」
「マリー話してくれないか」
全てを知る必要がある。
俺はもう一度マリーに告げた。
「すべてを話してくれ」
「そうよ!話してちょうだい」
「うわぁ!」
何所に隠れていた。
何所から入って来たんだ!
「固い事を言うんじゃないわ」
「お母様…」
「離してちょうだいマリーちゃん、貴女が嫌なら無理に聞かないけど」
そう言いながらも後で俺から聞き出す気だろう。
場合によってはあの二人の罪状を追加してやろと考えているんだろうが、それはさて置きだ。
マリーはゆっくりと話してくれた。
別邸で何があったか、その内容は聞くに堪えない内容だった。
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