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第四章
17安堵
しおりを挟むあの後二人は連行され裁判となったが言うまでも無く有罪判決を受けた。
別邸で私に暴行を働き、暴言を繰り返した証言はしっかりと証拠となったけど、問題はそれだけではない。
過去の罪も暴かれてしまった。
時効かと思ったけど、ギリギリ間に合ったようだ。
過去にお祖父様を殺した事実が明るみになり、既に平民になっているにも関わらずお父様に手を出した事で罪が増えたが、私までも殺そうとした罪が増えて有罪になった。
「マリー、痛むか…」
「大丈夫よ」
邸に戻り私は傷の手当てを受けた。
あの別邸で私は二人に暴行を受け、痛めつけられた。
体は痣だらけで、血も出ていたが。
傷よりも心が痛かった。
「マリー、もう自分を責めなくていい。君は悪い事をしていない、むしろ良い事をしたんだ」
何が良い事なの?
私は実の母と兄を破滅に追い込んだのよ。
「君は義父さんや俺達を守る為に覚悟を決めたんだ、その行いを誰を責められるんだ」
「違う私は…あの女と同じような事をしたわ。そして私の体には汚れた血が…」
「親は関係ない…だったら義父さんを卑下するのか」
お父様を卑下するなんて…
「親が悪事を働いてもしっかりした子供はいる。親は関係ない…貴族社会ではそういった人間は多いじゃないか。血なんて関係ない」
アンリの言葉は常に説得力がある。
うじうじしている私の心をスパッと切ってくれる。
ずっと自身の無い私に道を示し、正しい道に導いてくれたのはアンリだった。
「君は悪くない…だからもう良いんだ」
アンリに抱きしめられ私はようやく自分のした事は間違っていないと許された気がした。
その後私は気を張っていた事もあり疲れが出て熱が出てしまった。
「マリーちゃん、ごめんなさいね」
「おかぁ…さま」
「私が甘かったわ。私がけりをつけてようとしていたのに」
熱で寝込んでしまった私を心配して見舞ってくださったお母様は申し訳なさそうな表情をされてしまった。
「私が貴女のやろうとしたことを実行しようと思っていたのに」
「はぁー、本当にどうしてこんな所が似てしまったんだ」
頭が痛いというアンリに笑みがこぼれる。
「あの二人は二度と真面な生活ができないようにしてあるから安心してちょうだい」
「何をしたんだ…」
「フフッ、それは秘密よ」
これ以上は知ってはいけない気がした私は聞くことはせずに眠りについたのだった。
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