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第一章光の少年と癒しの歌姫
22珊瑚
しおりを挟むクローバー王国の王族と珊瑚は切り離せない。
海底に育つ黄金の珊瑚は命の源でもありセイレーン達にとって守り神だった。
人魚と呼ばれるセイレーンにとって海を守る守り神である珊瑚が枯れてしまえば海は汚れてしまい、海は死んでしまうと言われている。
「珊瑚が汚れるなんてありえない…故意的にからした可能性が高いんだよ」
「本当ですか?」
「この国に来る前にも海皇の加護を感じなかった」
エリーはグライアイ故に、察する事ができた。
「私はローレライを育てた老婆だ。解らるさ」
「お婆様、どうしたらよろしいのですか」
「オンディーヌ、これ以上他所の国に首を挟むんじゃない。これはこの国の問題だ」
「でも…」
エリーの言葉は正論だった。
既に貴族でもはないし、この国の問題に下手に介入したらどうなるか解らない。
「老婆殿、せめて解決方法だけアドバイスをくれないか」
「レグルス殿下…」
「僕はオンディーヌを巻き込むつもりはない。この国の問題はこの国の王族である僕達の問題だ」
オンディーヌは手助けをしようとするもレグルスは首を横に振る。
「情けない話だが、僕は冒険者として情報を集めたが…解決策は見つからなかった」
「まぁ、人間の力では不可能さね?私は人間の男が嫌いだ。協力なんて嫌だね」
「老婆殿!」
「砂かけ婆殿!」
「誰がだ!殺されたいのか!」
側近が呼んだエリーのあだ名に殺意を向けるもジオルドが必死で止めた。
「やめんか!」
「ええ!邪魔するな!」
「お前も悪いだろうが…」
ジオルドが無理矢理止めることで事なきを得たが、今は口論よりも珊瑚を救う事だった。
「珊瑚を浄化すればなんとかなる」
「ならば…」
「だが、簡単な事ではない。珊瑚と命を繋げている王子が倒れたと言う事は並大抵の穢れじゃない。聞けなクローバ王国の王位継承者は珊瑚と自分の魔力を共有すると聞く」
「ああ、その通りだ」
「ある程度の浄化能力では無理だ。珊瑚に癒しを与え、尚且つ海皇に癒しを与えなくては」
珊瑚が汚れた時点で海の守り神も穢れにより姿を見せなくなっている可能性が高い。
そうなると手立ては二つしかなかった。
「一つは海皇帝を目覚めさせる事だ。だが…」
「女神の旋律でないと不可能だよ」
「ああ…セイレーンの歌声でも無理だ。普通はセイレーンの中でも優れた歌声を持つ者を10名集め、時間もかかる」
「時間…どれぐらいだ」
レグルスは緊張しながら訪ねた。
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