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第六章.逆行した世界で
14.アネットの疲労
しおりを挟む昼休みが終わった後、アネットは屍になっていた。
「アネットさん?どうししましたの?」
流石に気になったジョアンナが訪ねると、アネットは死んだ魚のような目をしていた。
「先ほどマリー様にお城に連れて行かれまして」
「お城?」
「はい、聖書に出てくる黄金宮に似たお城です」
「あー…」
ジョアンナは全てを察し、同情的な目を向けた。
「グレース妃にお会いになったのね?しかもマリー様に連行されて」
「はい、恋愛の機微に詳しい大人の女性を紹介するとかで」
「マリー様ったら、せめて順序という者がありますでしょうに。いきなり大貴族のグレース様の元に行くなんて」
平民であるアネットでなくとも高位貴族でも会うことが難しい高貴な立場で血筋だけならば国一番のグレースにいきなり合えば失神しそうになるだろう。
「後で私から厳しく言っておきますわ。でも、あまり悪く思わないで差し上げてくださいな」
「怒るなんて…」
やり方は色々まず過ぎてもアネットの為を思ってしてくれたので怒る気にはなれない。
それどころかチャールズを慕っていた事を告白すると、マリーは快く応援してくれたのだ。
「貴女がチャールズ様を慕っていたのは知ってましてよ」
「え?」
「まぁ、気づいているのは私とマリー様にチャラ男だけですわ」
「え?は?」
「気になさらないで」
一応親戚に当たると言うのに酷い言われようなヒューゴだがジョアンナは昔からゴミ虫のような目でヒューゴにを見て接していた。
なので、扱いはかなり酷いかった。
「でも、マリー様は貴女が大好きですわ。正直妬いてしまいますわ」
「えっ、そんな…」
「あの方は貴女を慕っていますわ。その思いを裏切らないでくださいな…時期王太子妃となれば、権力欲しさに彼女を利用するか蹴落とすような輩が現れるでしょう。実の姉ですら彼女を排除しかねないのですから」
「それは…」
無いとは言えなかった。
サングリアはマリーに対してあまりにも酷すぎる接し方をしていた。
「何故、サングリア様はマリー様にあそこまで酷いことを」
「まぁ、マリー様に落ち度はありますが、サングリア様の捻くれた性格が問題ですわ。マリー様は姉君を慕っていると言うのに…まぁ、あそこまで邪険にされても慕えるのはある意味すごいですわね」
「はい」
普通な傷心して、溝ができるだろう。
最悪の場合、仲が険悪になるのだが、マリーはありえない程前向き過ぎた。
それが更にサングリアを苛つかせていたのだが、ここまで来ると一種の才能に近いとも思い、二人はため息をついた。
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