今日から悪役令嬢になります!~私が溺愛されてどうすんだ!

ユウ

文字の大きさ
上 下
109 / 168
第四章.魔法学園

30.家庭事情

しおりを挟む



マリーは教室で落ちこんでいた。


「どうされたんですか?」

「うー…」


元気のないマリーを心配するアネットは元気が出るようにお菓子を差し出す。

「マリー様、気にする必要はありませんわ」

「そうですわ。八つ当たりですわ」

「マリー様は悪くありませんわ…それにしても酷いですわね。実の妹君を陥れようとするなんて」

「え…」

アネットは耳を疑った。
ジョアンナ達から聞かされた内容は信じがたいものだった。


「マリー様はお姉様と仲がよろしいのかと」

「本人はそのつもりのようですが…」

「それは…なんというか」

かなり前向きだと思ったが、普通ならくじけてしまうと思った。


「私にも不仲な姉がいます、母が違うので幼少期から意地悪をされてきましたが…今でも仲は改善されませんので邸でも顔合わせるだけですわ」

「あの底意地の悪いお姉様には何を言っても無駄ではありませんか?人の話をまったく聞きませんし」

「ええ、ですから無視ですわ。私は私ですもの」

勝手はうじうじして泣いてばかりだったロザリアはマリーと出会い、強くなった。
自身がないならば自信を持てる令嬢になればいいと思い、血のにじむような努力を続けた結果、社交界で一目置かれる程の完璧な令嬢となったのだ。


今では、嫌味を言われても昔ほどの被害はない。
遠回しに仕返しもできるようになったし、マリーと親しくしているのであまり酷いことはできないのだった。

ロザリアが完璧な令嬢になったのはマリーと並び立つためだった。
公爵令嬢であり、王太子殿下の婚約者であるマリーの隣に立つには完璧でなくてはならなかった。


「そうだったのですか…」

「何所の家庭でも事情を抱えているのです。我が家の場合は辺境地出身で貧しいので遠縁から下目に見られております」

「私は分家から嫌味を言われておりましてよ?まぁ、完璧な過ぎるのを妬むのはよくある事ですわ。凡庸で才能も地位もない者は優れた者を妬むのですから」


この時、誰もが思った。


問題なのはジョアンナの性格だろうと。
外面はかなり良いのだが、中身は真っ黒であるジョアンナの性格にも問題はあるが、ここでそんな恐ろしい事を言えるわけもない。


「お姉様、すごく怒っていたわ…やっぱり私が二流だからかしら?」

「そんなことは…」

「やっぱり一流の悪役令嬢になるべく、もっと特訓しないとダメよね!」

「絶対違うと思うのですか…そもそも悪役令嬢って何ですか?」

アネットはおかしな方向に向かって頑張ろうとするマリーに呆れるも、本人は本を抱えて教室を出て行く。


「早速図書室に行ってきます!」

「言っている傍から…待ってください!」

アネットは大急ぎでマリーの後を追いかけ、ジョアンナ達も追いかけることになるのだった。


しおりを挟む
感想 111

あなたにおすすめの小説

田舎の雑貨店~姪っ子とのスローライフ~

なつめ猫
ファンタジー
唯一の血縁者である姪っ子を引き取った月山(つきやま) 五郎(ごろう) 41歳は、住む場所を求めて空き家となっていた田舎の実家に引っ越すことになる。 そこで生活の糧を得るために父親が経営していた雑貨店を再開することになるが、その店はバックヤード側から店を開けると異世界に繋がるという謎多き店舗であった。 少ない資金で仕入れた日本製品を、異世界で販売して得た金貨・銀貨・銅貨を売り資金を増やして設備を購入し雑貨店を成長させていくために奮闘する。 この物語は、日本製品を異世界の冒険者に販売し、引き取った姪っ子と田舎で暮らすほのぼのスローライフである。 小説家になろう 日間ジャンル別   1位獲得! 小説家になろう 週間ジャンル別   1位獲得! 小説家になろう 月間ジャンル別   1位獲得! 小説家になろう 四半期ジャンル別  1位獲得! 小説家になろう 年間ジャンル別   1位獲得! 小説家になろう 総合日間 6位獲得! 小説家になろう 総合週間 7位獲得!

愚かな者たちは国を滅ぼす【完結】

春の小径
ファンタジー
婚約破棄から始まる国の崩壊 『知らなかったから許される』なんて思わないでください。 それ自体、罪ですよ。 ⭐︎他社でも公開します

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です

結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】 私には婚約中の王子がいた。 ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。 そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。 次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。 目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。 名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。 ※他サイトでも投稿中

冤罪で断罪されたら、魔王の娘に生まれ変わりました〜今度はやりたい放題します

みおな
ファンタジー
 王国の公爵令嬢として、王太子殿下の婚約者として、私なりに頑張っていたつもりでした。  それなのに、聖女とやらに公爵令嬢の座も婚約者の座も奪われて、冤罪で処刑されました。  死んだはずの私が目覚めたのは・・・

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

処理中です...