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第四章.魔法学園
28.予想外の伏兵
しおりを挟む天使のような微笑みを浮かべながらも、リーゼリットは容赦のない言葉を放つ。
「王都ではマリー様の作った薬草は大変な人気です。何故ならマリー様の薬草と看病により、不治の病に苦しんでいた方が救われましたので…」
「それは…そうよ、薬草師の手柄をマリーが」
「サングリア、どうしてマリーをそこまで否定するんだ。マリーは幼少期から領地で薬学を学んでいたんだ。それを人の手柄を奪ったような言い方をするなんて」
サングリアの言いようはあまりにも酷いと思いチャーリーは咎める。
すべてマリーの努力によるものだったのに、認めようともしないことをに怒りを覚える。
「貴女は、妹の功績を認めることもできないのか…いや、認めたくないのか」
「何を言ってますの?」
「マリーが君よりも優れているのが認めたくない。だからそんな言い方をするのか…君は姉失格だ。俺と同じだなんて二度と言わないでくれ」
「フィリップ様!」
サングリアは傷ついたような目をするも氷のように冷たい視線で睨むフィリップはさらに続ける。
「リーゼリットは俺の可愛い妹だ。妹を侮辱することは俺への侮辱だ…いや、我がスティール家への侮辱と言ってもいい」
「そんな…私は」
「そして我が家の恩人でもあるマリーを侮辱する行為は、スティール家に喧嘩を売る行為だ。この事はしっかりと父にも報告させてもらおう」
「そっ、そんな…」
ようやく自分がとんでもない失態を犯してしまった事に気づくも後の祭りだった。
「随分と楽しそうですわね?」
「ジョアンナ様!」
この騒ぎの中、黙って見守っていたジョアンナがサングリアの前に現れた。
「相変わらず趣味の悪い方。お育ちの悪さが伺えますわね」
「なんですって?」
「あら?自覚がなかったのかしら?」
上品に笑みを浮かべながら扇を片手に優雅に微笑むジョアンナの顔は目が笑っていなかった。
「貴女はご自分の立場をまだ理解されてませんのね?貴女は既に婚約候補から外された令嬢。マリー様は正式な王太子妃となる方ですわ。立場をお考え遊ばせ…妹君を苛めて楽しむとは趣味が悪くてよ」
「私は苛めてなんか!」
サングリアはジョアンナを睨みつけようとするも、通りかかった生徒達がヒソヒソ話していた。
「いくら何でも酷くないかしら?」
「ええ、姉としてどうかと思うわ」
「底意地和悪すぎだろ」
サングリアが大きな声でこれ見よがしにマリーを責めていた事もあり他の生徒が集まって来た。
その中には騎士科の生徒もいたので、注目の的になっている。
完全に悪役となったサングリアを味方になる者はいなかった。
「くっ…」
「お姉様!」
マリーが追いかけようとするも、ジョアンナに手を掴まれてしまい、敵わなかった。
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