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第四章.魔法学園
22.陽だまりに触れた日
しおりを挟むアネット・キャンドルは学園内でも浮いた存在だった。
彼女自身に問題がる性格だと言う意味ではない。
ここが貴族の令嬢、令息が通う学園故に、アネットは悪目立ちしていた。
「見て、平民がいるわ」
「どうして、貴族しか通えない学園に」
「聞けば、光の魔力を持つとか…」
どの国でも常識とされているのが、魔力を持つのはほとんど貴族だけと言われている。
にもかかわらず、アネットは魔力を持っていた。
しかも、王族の中で限られた者しか受け継ぐことができないと言う特別な魔力。
光の魔力の持ち主だった。
通常、魔力は過去に精霊の恩恵を受けたことで決まるのだが、光の魔力だけは継承ではなかった。
天が授けた特殊な者で、選ばれた存在だけが受け継がれていた。
アネットの両親はごく普通の人間で平凡だった。
両親に片方が貴族ということもなかったが、ある日突然に光の魔力が発動してしまった。
その所為でアネットの環境は変わってしまった。
これまで普通に幸せだった。
生活は苦しかったが、平凡な幸せの中生きて来たのだ。
しかし、光の魔力を発動させたことですべては変わり始めた。
母親の不義を、近所から疑われ白い目で見られ、学校でも冷たい視線と言われのない噂を流される日々に苦痛を感じながらも、母の手伝いをして、学業を疎かにすることなく必死に努力した。
しかし、頑張れば、頑張るほどに裏目に出てしまい。
アネットが優秀であればるほど疑いを向けられてしまい、居場所は何処にもなく一人ぼっちだった。
そんな時、王立魔法学園への推薦が来た。
この際、新しい環境に身を投げ心機一転と思いきや。
アネットの願いは空しく、学園でもアネットは一人ぼっちだった。
試験を受けに行けば、蔑んだ目で見られ。
場違いだと言わんばかりの視線や陰口に、アネットは傷ついた。
(ここにも私の居場所はない…私は…)
ずっと諦めずに頑張って来た。
なのに、頑張っても無理だと。
お前には居場所などないのだと言われているようで悲しかった。
だが、試験の日。
「わぁぁ!ないない!!」
隣の席の同じ受験生の少女が鞄をひっくり返しながら叫んでいた。
「まずい、まずい、まずい…忘れた!」
鞄をひっくり返しながら何かを探しているようだった。
(何を探して…あら?)
床に落ちている受験票を手に取りアネットは直ぐに声をかけた。
「あっ…あの、落としてますよ」
「私の受験票ぉぉ!ありがとうございます!」
「あっ…いえ」
受験票と一緒に手を握られアネットは驚いた。
誰かに手を握られるのは久しぶりで、握られた手から温もりを感じたのだった。
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