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第四章.魔法学園
20.苦手科目
しおりを挟む昼休みが終わり、上機嫌で午後の授業を受けるはずだったマリーはピンチを迎えていた。
乗馬の授業や音楽の授業は問題なかったが、数学の授業で頭を抱えていた。
「くっ…やはり難しい」
元より文系のマリーは理系が苦手だった。
しかし、錬金術科だけでなく、魔法科も理系は必須だった。
化学式を理解し、魔法や錬金術を使わなくてはならないのだが、基本でくじけていた。
「錬金術の方程式は理解できるのに…」
簡単な数式を使った問題であるが、ちんぷんかんぷんだったマリーは困り果てていた。
「では、次の問題をキャンドルさん」
「はい」
そんな中、問題を当てられたアネットは黒板の前に立ち、あっさりと計算式を解いて見せる。
「よろしい」
「はい」
教師は笑みを浮かべるも、教室の空気はあまりいいものではなかった。
「何よ、少しできるからって」
「調子に乗って…」
優秀なアネットを妬むような声を上げるも。
パチパチ!!
「すごいわアネットさん!」
「あっ…マリー様」
授業中にも関わらず拍手を送るマリーは気づいていない。
「今は授業中なんだがね?」
「申し訳ありません」
視線が集中し、すぐに気づき教師に謝罪をする。
「今後は気をつけるように」
「うっ…はい」
こうして授業は引き続き進められるも、教科書と睨みっこしながら頭を抱える事になるのだった。
授業が終わってすぐ。
「キャンドルさん!」
「えっ?」
「キャンドルさんは理系が得意なの?いきなり当てられたのに、あっさり解いてしまうなんて…学園に通う前は何処で勉強なさっていたの?」
「えっ…えっと」
「流石首席で入学なさるだけはあるわ」
戸惑うアネットに気づくことなく興奮するマリー。
「当学園は完全な実力主義なのに、キャンドルさんは推薦入学だと聞きました。とっても優秀だったんでしょうね!ご両親もさぞ鼻が高いでしょうね」
「えっ…いいえ、そのようなことは」
「私は数学が苦手で…キャンドルさんが羨ましいわ」
他意はなかったマリーは、純粋に羨ましいと思った。
得意なことは超人並みであるが、苦手な勉強は中々習得できず、未だに困っていた。
「あの…私でよろしければお教えしましょうか?」
「え!いいのですか…是非お願いします。今から行きましょう」
「ええ!」
アネットの言葉に目を輝かせ強引に手を引きながら、教室を出て行くのだった。
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