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第四章.魔法学園
13.真実は不明
しおりを挟むチャールズが正式な跡継ぎとして迎えられるようになった頃から、マリーに対する悪い噂が流れていた。
その噂というのは、マリーの悪女説だった。
長女であるサングリアを領地に追いやり、当初の座から引きずり落そうとしたこと。
そして元婚約者を使ってサングリアを虐げているという根も葉もない噂だった。
噂を流したのは誰かは特定できないが、セレシアはサングリアを疑った。
実際領地では、マリーの悪口を言いふらしているとの証言は得ていたし、辺境地に住まう貴族同士の交流会に参加した時にサングリアと言葉を交わす機会があったが…
絵にかいたような貴族令嬢だった。
所作は悪くないが、上から目線で傲慢な態度で、身分絶対主義な考え方に呆れた。
辺境地の貴族は時として、王都に住まう侯爵家以上の地位を持つ者もいる。
そんな場で、爵位も得ていない令嬢が無礼な口を聞くなど許されなかった。
サングリアは辺境貴族を馬鹿にし、宮廷貴族の在り方を自慢するように告げ、その場の空気は最悪な物となった。
王都では身分が高い者が格下の者を差別的に見ることあるだろうが、辺境地ではそんな真似をして許されない。
温室育ちのサングリアは、最初こそは許されるも。
領地に来て一年過ぎても、態度が変わることもなかったので、寛大だった他の貴族も敵意を持つようになった。
なのに、それすら気づかず。
挙句の果てには、マリーの功績すらも否定し始めたのだった。
薬学の知識はただたんに薬草を育てていたからにすぎず。
王妃を救えたのは、マリーではなく、傍付きの者が行っただとか、マリーは手柄欲しさに自分がしたと言ったのだと言う始末だった。
そのパーティーに参加していたセレシアは絶句した。
どうしてそんな酷いことが言えるのか。
マリーが他人の手柄を奪うような真似はできる程器用でないの事が実の姉に解らないのか。
この時、セレシアは思った。
サングリアという人物の本質を、見抜いたのだった。
なのに、未だに姉を慕うマリーが不憫だった。
「セラ?どうしたの?」
「いいえ…なんでもありませんわ」
姉を今でも信じているマリーが事実を知ればどうなるのだろうか?
セレシアとて、マリーの事をどう思っているか、サングリアに聞いたわけでもない。
だから真実は解らないが。
「セレシア様…」
「ロザリー様」
心配そうに見つめるロザリアも、同じ気持ちだった。
スペンサー家は多くのコネを持つので、そういった情報も得やすかった。
だからこそ、サングリアに会いたいというマリーを心配していたのだったが、本人に言えないのでどうしたものかと思った矢先の事。
マリーは誰かにぶつかった。
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