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第三章悪役令嬢の道

28.本屋

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お茶会やお妃教育とせわしない日々を過ごすしながらも充実していると中、マリーは王都内の本屋に訪れていた。


「フフッ、やったわ。ついに手に入れたわ!」

「お嬢様…」


本屋にて、とあるコーナーに立ち笑いが止まらないマリーは他人から見ても近寄りがたい不気味な雰囲気を持っていた。


「欲しかったロマンス小説を手に入れたわ」

「奥様にバレたら怒られますわよ」

「大丈夫よ?カモフラージュにブックカバーを作ってもらったから。本も私の隠し部屋に隠してあるから」

何時の間にそんな場所を確保したのかと思うが、既に深く突っ込む気はなかった。
突拍子のない行動をするのは今に始まった事ではないので言っても仕方ないと既に諦めていたのだが。


「やっぱり本はいいわよね。妄想の世界に入れるし…何しても怒られないし」

「お嬢様、お外ではそのような…」

「それに、最近叔母様も寛大になられているし」

「ある程度諦められたのではないかと」


常日頃から問題ばかり起こし続けるので諦めも必要だと思ったのもあるが、最近は前ほど怒らなくなったのだ。


「叔母様も心のゆとりを持つべきよね?」

「いえ…奥様も穏やかに過ごしたいと思われていまよ」


常にリリアンヌの悩みの種がマリーの起こす問題事件だと言うことを未だに本人は気づいていない。


「まぁ、念願の本を手に入れたことだし。早く帰って読まないと」

「かしこまりました」


本を抱きしめながら会計に向かおうとした時だった。


周りが騒々しく感じた。



「何?何の騒ぎ?」

「解りません、見てきましょう」


アンナが周りのざわめきに気になる中、客の数名が騒ぐ。


「見て…またあの子よ」

「まぁ、なんて不気味なの」


ガヤガヤとする声の中聞こえてくるのは悪意のある声だった。


「あの不気味で汚らわしい白髪に人。まるで老婆だわ」


「近づいてはダメよ。あの子に近づくと不幸になるのだから…ランドール家は呪われた一族なのだから!」

聞こえないようにヒソヒソ囁くようだがわざと聞こえるように言っているようにも思えてならない。


「ゲホッ…ゲホッ!」

「しっかりしろ!リーゼ!」


ハンカチで口元を抑える少女に寄り添う美しい少年は周りの視線から妹を庇う様にしていた。

けれど周りは好奇な視線を向けているだけだった。


そのあんまりな光景にイラッとしたマリーは何時もの如く、その中に入って行った。


言うまでもなく、アンナが少し傍を離れた数分の間の出来事にまたしても自分からトラブルに首を突っ込んだのだった。


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