今日から悪役令嬢になります!~私が溺愛されてどうすんだ!

ユウ

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第三章悪役令嬢の道

21.一緒に我が家へ

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無自覚に色々とぶち込んだマリーはお茶会を終え、アンナの元に向かったが。


「おっ…お嬢様。こちらの方は」

「お茶会でお友達になったロザリアさんよ」

「もしや…スペンサー家の」


迎えに行くと、見慣れない令嬢がいた。
顔は知らないが身に着けている装飾品に紋章を見れば誰か解るのだが。


「ロザリア・スペンサーでございます」

「侍女のアンナ・リークと申します」


清楚華憐で、貴族令嬢としての所作は申し分なかった。
ジョアンナが女帝の器を持つならば、ロザリアは可憐で愛らしい姫君のような令嬢だった。


「今夜は我が家でお泊り会をするのよ!」

「はい?」

「折角だから交流を深めようって事になったの」


いきなりすぎてついていけなかった。

「おっ…お嬢様。いきなりは難しいかと。二人にもご迷惑ですし」

「私は大丈夫ですわ」

セレシアは笑顔できっぱり答える。
隣にいるロザリアの遠慮がちであるが、頷いている。

「心配ないわ!私がホスト役をするのだから!」

「いえ、そうではなくて」

「今日は星を見ながら夜を明かすの」

笑顔で言うマリーと反対に胃を抑える。


相手は侯爵家のご令嬢で、国内でも有数の資産家でもある。
間違っても粗相をすればどうなるか解らないし、部屋だって通常の客間では心もたないのだが。


「お部屋の準備もありますし」

「大丈夫よ、夜は私の部屋で眠るから」

「おっ…お嬢様ぁー!」

アンナの思いは一ミリたりとも伝わることがなかった。


「交流を深めるには同じ釜の飯を食べること!」

「お嬢様、何処でそんなはしたない言葉を覚えられたのです」

「さぁ、我が家に帰るわよ!」

「私の話を聞いてくださいませ!」


常にマイペースのマリーに頭を悩ませながらも馬車の準備を整え、手狭ながら四人で馬車に乗る。

「普段は一人で乗りますから、新鮮ですわ」

「馬車でおしゃべりするのも楽しいですね」

「はい…」


馬車の中ではおしゃべりに花を咲かせる三人。
アンナは生きた心地がせずに公爵家のまでの道のりに頭を抱えていた。

「奥様やコレット様がお知りになったら…」


この後、公爵家に到着した後。


リリアンヌがどんな反応をするなんて安易に想像できるので頭が痛くて仕方なかった。


「邸に到着したら、何をしましょうか?」

「私、お泊り会は初めてで…作法が解りませんわ」

「わっ…私も」


そんなアンナの思いなど気づかずに、マリーは何時もの調子だった。

「作法なんて要りませんよ。無礼講ですから…おしゃべりをしてお菓子を食べてるんです!きっと楽しいですよ」


二人の反応は普通だったが、おかしいのはマリーの発言だったが…

「そうなのですか」

「なんでもご存じなのですね」


完全にマリーのペースに引き込まれてしまっている二人だった。


そして公爵家に到着した後に。


「マリー!!」

リリアンヌの声が響くのはお約束的な展開だった。


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