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第三章悪役令嬢の道
18.戻った場所で
しおりを挟むマリーはロザリアの手を引きながらお茶会の席に戻った。
「セレシア様!」
「マリー様、何処に…」
お茶会の席でいなくなったマリーを探していたセレシアは安どしたが直ぐに表情を強張らせた。
「あっ…あの、マリー様」
「お友達になりました」
「えっ…マリー様?」
慌てるロザリアだったがマリーはマイペースだった。
「ロザリーは裁縫が得意なんですよ。このドレスもロザリーが作ったんですって」
「えっ…マリー様?」
愛称で呼ぶマリーにセレシアは驚くがムッとする。
「マリー様」
「あっ、馴れ馴れしかったわね?ごめんなさい」
「いっ…いえ、嬉しいです」
恥じらいながらも嬉しそうに微笑む笑顔は可憐だった。
「はう!」
「マリー様、胸を押さえてどうしたのです!」
「これが胸キュンというものか…可愛いは正義!」
「はぁ?」
余りにもおかしな行動と危険な発言をするマリー。
もし、リリアナやアンナがれば、確実にお説教コース直行だっただろう。
この場にいないので好き放題だった。
「マリー様、具合が悪いのですか?」
「いいえ、全然」
「ならばいいのですが…」
嫌味ではなくセレシアは本気で心配をしていた。
「折角だから三人でお菓子を食べましょう」
「あっ…あの」
「私はかまいませんわ。マリー様と一緒に入れるなら」
そういいながら隣をキープするセレシアだった。
「これで楽しくお茶会を楽しめますね。ケーキを取りに行きましょう」
「マリー様、ケーキは逃げませんわよ」
「あっ…待ってください」
マリーの後を二人は追いかけ、おしゃべりに夢中なっている令嬢達のようにおしゃべりを楽しみ盛り上がっていた。
すると中心にいる令嬢が目に入る。
「あの方達は?」
「スペンサー家のご令嬢達ですわ」
視線が合い、こちらに向かって来るのを察したセレシアは顔を顰めた。
「おっ…お姉様」
「ロザリア様」
セレシアは怯えるロザリアを庇う様に前に立ち、この場を回避しなくてはと思う。
なのだが…
「ご挨拶しないと」
「「はい?」」
またしても空気を読まないマリーは気づいていない。
「ロザリーのお姉様ならちゃんと挨拶すべきよね!」
「いえ、マリー様」
セレシアは困り果てた。
マリーの言うことは最もなのだが、この状態で挨拶をして終わるはずがない。
「ごきげんよう」
「マリー様」
セレシアが悩む中、マリーは早速挨拶を交わしていた。
「我が家のお茶会は楽しんでいただけていますか」
「ええ、とっても」
「それはようございました。私もマリー様とお話をしたいと思って…」
「まぁ!」
最初こそは笑顔を浮かべていたが、傍にいるロザリアを見て冷たい視線を浮かべる。
「何故貴女がここに?」
「このような席は苦手でしょう?」
「あっ…」
二人の視線は汚い物を見るような目をしていた。
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