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第三章悪役令嬢の道

14.スペンサー侯爵家の事情

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侯爵家に馬車が到着してすぐにマリーは周りを見渡した。

「すごい、薔薇園にお城…」

「流石、スペンサー侯爵家ですわね。邸は家の財を象徴するともいいましょうか。ここまでの財力は四大侯爵家でもノルマディア公爵家ぐらいです」

「ほへー」


ここまで財力を持っているのに感心する。

「ふむふむ、スペンサー家は貴族の中でも優秀の資産家なのか」

持ってきた手帳に書き込みを行う。
今後悪役令嬢を目指すには多くの令嬢と人脈を広げなくてはならない。


「あれ?神殿の方に誰かいる」


馬車から降りて邸に案内されると、スペンサー家の令嬢が挨拶をする。

「ようこそおいでくださいました。我が家のお茶会におこしくださり誠にありがとうございます」

「本日はお招きいただきありがとうございます」


二人の姉妹が挨拶する中、後ろにいる令嬢が挨拶をしようとしたが…

「三女のロザリアで…」

「さぁ、どうぞ!」


マリーが挨拶をしようとする前に姉達が言葉を遮るようにして邸の中に案内し、姉達は告げる。


「えっ…あの!」


急かされるように邸に招かれるも、顔を俯かせたまま震えるロザリアが気になって仕方なかった。



「マリー様」

「セレシア様、御機嫌よう」

お茶会に参加してすぐにセレシアを見つけ挨拶をする。

「本日はお誘いくださってありがとうございます」

「ご一緒出来て嬉しいですわ」


今日のお茶会はセレシアの誘いがあったから参加できたようなものだった。

「キャメロン家とスペンサー家は親しい間柄なんですか?」

「領地が近いですが…家格は別格ですわ。ですが、農産物を育てている我が家とは対照なりとも関りはあります」

「キャメロン家のお茶はすごく美味しいからですね」

「まぁ…」


テーブルの前でお茶を飲みながらお菓子を見ると、花が綺麗に飾ってあった。

「よく見ると、お茶も薔薇だわ」

「これは、三女のロザリア様ですわね」

「ロザリア様?」

お茶会のいたる所に飾られている美しい花。
薔薇や百合と美しくも瑞々しい花が咲き誇り、思わず見惚れてしまう。

「私も詳しくは存じませんが、三女のロザリア様は姉君とはお母様が違うそうなのです…噂では大変我儘で姉君を困らせている噂がございますわ」

「噂ねぇ…」

マリーは噂を信用しなかった。
自分の目で見た物を、聞いた物を信じるので、他人が流した噂なんて信じるに値しないと思ったからだ。


「それにしても綺麗な花ですね」

「噂では、ロザリア様は水の魔力をお持ちだとか。亡くなられた母君も花を育てるのが得意だと伺ってます」


咲き誇る薔薇の花を見ながらマリーは決意した。

「マリー様?」

「百聞は一見に如かず」

「えっ…どちらに!」


考えりも行動に出たマリーはそのまま庭に出て行った。



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