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第二章もう一つのルート
16.入れ替わった後
しおりを挟むその頃、サンチェスト領地では問題を抱えていた。
不作が続くわけでも、他国から侵入者が入ったわけでもないが、大問題を抱えていた。
それは身内の問題だった。
「チャールズ様、もう我慢できません!何なんですかあの方は」
「傲慢で、そこ意地が悪く、最低です!」
公爵家にて古くから仕え、領地を守る使用人達は怒っていた。
傍にはモーリス侯爵家の使用人も殺気を隠す気もないようで、チャールズは頭が痛かった。
「他所の領地と毎回もめ事を起こしてクレームが来ています」
「ああ、俺にも来たよ。すぐに謝罪と詫びの品を送って収まったけど」
「まぁ!チャールズ様にそんなことを!」
モーリス家は侯爵家であるが、決して身分が低い訳ではない。
特に、チャールズ幼い頃から領地経営の英才養育を受けて来たので優秀だった。
とは言え本人は領主になるのではなく補佐に回るを事を決めていた。
社交性があって他者とすぐに打ち解けられるマリーだが、警戒心が低い為、優秀な補佐が必要だった。
その為、裏で動いて支えていたのがチャールズだった。
マリー自身もチャールズを頼りにしていたので、二人は良好な関係を築いていた。
「以前まではこんなことありませんでしたわ」
「そうです。マリー様が多少の問題を起こしても…あの方はちゃんと謝罪をしていましたわ。先方様も理解してくださいました」
マリーはトラブルを呼ぶことはあれど、同様に幸運を呼んでいた。
気難しい商人や、隣の領主とは最初は仲良くなれずともゆっくりと関係を変えて行った。
「マリー様を無理矢理王都にやるなんて」
「あんまりですわ。幼少期に王都から追い出され、今ままでほったらかしだったのに」
「いや、伯父上達はほったらかしでは…」
「似たような物です!」
ストレスが爆発するように声を張り上げる侍女達。
彼女達は、マリーが幼い頃から傍で世話をしていたので、娘同然だった。
公爵家の問題を考慮しても酷すぎるのではないかとも思った。
マリーは貴族令嬢として優秀ではないが、多方面で優秀である事は知っていたし、何より領民を第一に考えていた。
入り婿になるチャールズであるが、頼りにしていたし、とても慕っていた。
なのにいきなり、婚約者の入れ替え何て言われて納得できない。
「サングリア様はマリー様を何だと思っているのです?時折来てはマリー様をに嫌味を言ってたのに」
「マリー様があまりにも不憫ですわ。領地にいる時は、姉君のことを案じておられたのに」
「ええ…」
サングリアは年に一度だけ領地に来ることがあった。
その時期にはマリーは、あサングリアに喜んで欲しくて色々準備するも、王都の暮らしとは異なり勝手が違う為、サングリアを喜ばすどころか呆れさせることばかりしてしまった。
その都度注意をされてしょげていたのを使用人は見ていた。
いくら何でも酷いと彼等は思っていた。
好きで王都の暮らしを知らないわけじゃない。
なのに言い方があまりにも上から目線で、馬鹿にするような口調だったので使用人達は嫌悪感を抱いていた。
その所為もあってか、今回のことは納得できなかった。
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