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第二章もう一つのルート

13.回復

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二週間後、マリーの献身的な看護の成果が出たのか。

王妃は回復に向かっていた。
食事もスープとお粥以外も食べることが出来るようになり、清拭だけでなく入浴もできるようになった。


「熱くないでしょうか」

「ええ、ちょうどいいわ」


狭い部屋に入浴場所を作り、半身浴をしながら体をたためる。
傍には侍女を付き添わせて常に水分を取ってもらい、汗をかくように心がけた。

「世話になりましたね」

「とんでもありません」

未だに痩せているが、以前よりも肉付きは良くなってきている。


王妃という立場でありながら、侍女やメイドにも世話になればちゃんとお礼を言いう。

傲慢というわけでもなく礼節を重んじる所を見ると王妃として十分な器の大きさを持っているのが解る。


「数々のご無礼を…」

「やめてくださる?貴女のおかげで目が覚めました」

背中を流されながら、王妃は自分がどれだけ愚かだったか気づく。

「私は何も見えてなかったのです。そして逃げようとしました」

病になり、王妃の役目も果たせないなら死んだ方が良いと逃げた。


夫が妃を迎える前に死にたかったのかもしれない。


惨めな思いをしたくないから、死に逃げようとした。

「アレクシスが何度も見舞いに来てくれたことを知り‥夢であの子に手を握られている気がしました。夢ではなかったのね」

「はい…」

「私はあの子までも傷つけてしまっていたわ」

あの時、アレクシスの言葉を聞き、このまま死ぬものかと思った。

何が何でも生きなくてはと強く思った。


「でもそれだけじゃなかったの…ずっと私を呼ぶ声が聞こえたの。私があっちへ行こうとするとダメだと言われている様で」

「王妃殿下…」

「貴女でしょう?私を呼び戻してくれたのは」


意識を取りもしてから部屋が少し変わっているのに気づいた、
カーテンの色や、部屋の空気に窓に飾られていた花も変わっていた。


「ありがとう」


マリーがしたのだと解った。
王妃の為に細かい部分まで気を使い、後から他の侍女に聞けば、昼夜問わず看病をしていたことを聞かされた。

まだ幼さが残るのに、王宮に仕える侍女よりもずっと優秀だとさえ思った。


「王妃殿下、体が冷めないうちに」

「ええ…」

お湯から上がり、着替えの準備をする。
できるだけゆったりしたワンピースを用意して、ショールをかける。


車椅子に座り、髪の毛を乾かそうとしていた時だ。


「陛下!何をされているのですか!」

「いや、様子を…」

「王妃殿下は入浴中です!今すぐ退出願います!」

扉の向こうからルイーザとアスランの言い合う声が響いていた。


「またあの方は」

「ハァー…」


他の侍女は困った表情をするも、ここ数日はこのやり取りが繰り返されていた。



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