今日から悪役令嬢になります!~私が溺愛されてどうすんだ!

ユウ

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第一章逆行した世界

4.従兄妹

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突然の婚約解消により、マリーの環境は一変した。
これまで大自然の中で過ごしていたマリーはいきなり王都に住まわなくてはならないのだから、色々大変だった。


「マリー、本当に行ってしまうのか」

「うん、でも…直ぐ帰って来るわ」

「そうか、直ぐに帰って…は?」

別れを惜しむ婚約者であり従兄弟のチャールズは悲しみながら別れを惜しんでいたと思いきや、マリーの発言に耳を疑う。


「いや、何を言っているんだ?」

「だって、私が王太子妃になれると思う?優秀なお姉様ならともかく私よ?ないない」

手を振ってないないと言うマリーに絶句する。

「一応王家に逆らえないから仕方なくだし…上手く行くわけないわ。どうせ婚約解消になるんじゃないかしら」

「マリー…」

チャールズは頭が痛かった。
確かに、言っていることは間違ってないかもしれないが、あまりにもあっさりし過ぎている。


「いいのか、それで」

「仕方ないし…それに、悪い事ばかりじゃないわ」

「何かいいことがあるのか?」

マリーにとっては悪い事ばかりかと思っていたが…


「お姉様の方が優秀だから、公爵家を守ってくれると思うの…それにチャーリーを支えてくれるわ。私よりもお姉様はとっても優秀だし」

実は転生する前から思っていたことがあった。
従姉弟であるチャールズは公爵家に売られたという悪い噂があった。

その理由は完璧な姉とは反対に何一つ平凡なマリーを押し付けらたことだった。
マリーは公爵家の使用人や領民が大好きだったが、他人はマリーを見下し馬鹿にしていた。

優しかったのは本家の使用人や本家筋の親族ぐらいだった。
勿論、生まれた時から一緒だったチャールズを知っていたからこそ申し訳なかった。

「お姉様が婚約者なら叔父様の心労も少なくなるだろうし…他の親族からの意地悪も減ると思うの」

「マリー…そんなこと気にしなくていいんだ」

「それに、叔母様はお姉様の事をあまり好きじゃないけど。一緒に暮らせば仲良しになるわ」


物心ついた頃から王太子妃として教育されたサングリアは両親の元で大切に育てられ。

その反対に領地で育ったマリーはリリアンヌが育ての母のようなものだった。

とは言え、両親はほったらかしにしたわけではない。
忙しいのに時間を作り定期的に様子を見に来てくれたりしたが、親族はマリーを蔑ろにした。

両親も王都で辛い思いをするならばと、社交デビューは質素に行ったのだ。
それがリリアンヌに疑いを持たせてしまった。


長女を大事にするあまり妹はどうでもいいのかと。

すべては誤解なのに、転生前の事を思い出すとやりきれないでいた。

姉に暴行を与えられ大けがを負った後にリリアンヌはサングリアを嫌悪した。
そして事態は最悪な方向に進み公爵家は没落し、モーリス侯爵は没落せずに済んだが立場が悪くなった。


マリーと結婚するはずだったチャールズとの婚約も白紙になり、その後のことは解らない。

誰も幸せになれなかったことだけは予測できたのだから。


「私、叔母様とお姉様が仲違えして欲しくないな」

「マリー…」

誰よりも家族想いなマリーを思うとチャールズは不憫だった。
こんなにも家族想いなのに、王宮内での醜い争いで生き抜けるのだろうか。

例え一時的な婚約とは言っても、不安が拭えることはなく。

チャールズは泣く泣く、マリーを送り出すしかなかった。

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