婚約者に冤罪をかけられ島流しされたのでスローライフを楽しみます!

ユウ

文字の大きさ
上 下
110 / 111
第四章幸福と不幸は紙一重

32.人外大集合

しおりを挟む




今さら言っても無意味だと言うことに気づいていないフレディーは後方から押し車を押す音が聞こえ振り返ると。


「ガウ」

「ギャオ!」


押し車を引く熊達、
その押し車の中には若い雄熊が雌熊に求婚をしていた。


「お前達もか!」

「ね?今さらじゃない?」

「なんで熊が押し車に乗っているんだ?色々おかしいだろ」

この島に秩序というものが存在しなかった。
何故なら既に魔熊だけでなく神格を持つ獣までも住み着き、生活をしている。

離島の方には動物たちだけの国までできている始末だ。


「フレディー、諦めなさい」

「ここは動物王国か?おかしいと思うのは俺だけか」

「いいじゃない、彼らがいたら侵略は無理だもの」


笑顔で言うアーデルハイドに頷けない。
現在ではカスメリア島に入る前に幾つかの島には魔熊達が住みつき、子孫を作り、現在は多くの魔熊が生活をしている。


その為、生身の人間が島を奪おうとしたら魔熊が襲って来る。
魔法を使おうにも、魔熊達は大地の加護を得ている所為か、地面を殴れま地震が起きたり津波になる。


近づく事さえ不可能だった。


「そのうちフレイアが要塞を作るとか言っていたわ。大砲とか」

「止めろ、冗談に聞こえないじゃないか」

「ええ、冗談じゃないわね」


高笑いをしながら黒い笑みを浮かべるフレイアを安易に想像ができる。


「嫌だ…あの魔女が支配する島なんて」

「でも、フレイアはこの島で生活する為に手続きを済ませていたわ」

「何だと!」


これまでは定期的に遊びに来る程度だったが、本格的に移住してきたとなればとんでもないことだ。


「なんでだ、祖国に帰って結婚すればいいだろう」

「本人曰く、自分より弱い男は嫌だとか」

「フレイアより強い男なんているか!無理を言うな」


この世でフレイアに強いの認めさせる男なんて人間でいるのか、と思った。


「探せばいるのではないかしら?運命の相手が」

「いるか?」

「私のお相手がいたのだから」


世界中探せばいると思っていた。
アーデルハイドにとって最高のパートナーがフレディーであったように、フレイアにもいるはずだと思った。


「君の時とは違うだろう…まぁ、俺もそうだが」

社交界の令嬢に嫌悪感を抱き、人生を共にするパートナーは要らないと思っていた。

平和な島で時折休暇を楽しめればいいと。


そんな日々を過ごしていたが、アーデルハイドと出会うことで変わることができた。


自分の責務から逃げ、役目を果たすこともできない自分に罪悪感を感じていたフレディーに新しい扉を開いてくれたのは、アーデルハイドだった。


もし、アーデルハイドに出会わなければどうしただろうか。


考えても仕方ないが、国に尽くしたい。
遠くからでも兄を支えたいという願いを叶えてくれたのはアーデルハイドだったかもしれない。

「さぁ、参りましょう」

「ああ」


何時も突拍子もないことをしでかす妻は目を離すと何をするか解らない。

けれど、すべてが幸せに繋がり、幸せへの道へ進める気がした。


しおりを挟む
感想 291

あなたにおすすめの小説

妹ばかり見ている婚約者はもういりません

水谷繭
恋愛
子爵令嬢のジュスティーナは、裕福な伯爵家の令息ルドヴィクの婚約者。しかし、ルドヴィクはいつもジュスティーナではなく、彼女の妹のフェリーチェに会いに来る。 自分に対する態度とは全く違う優しい態度でフェリーチェに接するルドヴィクを見て傷つくジュスティーナだが、自分は妹のように愛らしくないし、魔法の能力も中途半端だからと諦めていた。 そんなある日、ルドヴィクが妹に婚約者の証の契約石に見立てた石を渡し、「君の方が婚約者だったらよかったのに」と言っているのを聞いてしまう。 さらに婚約解消が出来ないのは自分が嫌がっているせいだという嘘まで吐かれ、我慢の限界が来たジュスティーナは、ルドヴィクとの婚約を破棄することを決意するが……。 ◆エールありがとうございます! ◇表紙画像はGirly Drop様からお借りしました💐 ◆なろうにも載せ始めました ◇いいね押してくれた方ありがとうございます!

もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」 婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。 もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。 ……え? いまさら何ですか? 殿下。 そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね? もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。 だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。 これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。 ※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。    他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

もういいです、離婚しましょう。

うみか
恋愛
そうですか、あなたはその人を愛しているのですね。 もういいです、離婚しましょう。

お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】 私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。 その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。 ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない 自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。 そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが―― ※ 他サイトでも投稿中   途中まで鬱展開続きます(注意)

婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!

志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。 親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。 本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。

婚約破棄の翌日に謝罪されるも、再び婚約する気はありません

黒木 楓
恋愛
 子爵令嬢パトリシアは、カルスに婚約破棄を言い渡されていた。  激務だった私は婚約破棄になったことに内心喜びながら、家に帰っていた。  婚約破棄はカルスとカルスの家族だけで決めたらしく、他の人は何も知らない。  婚約破棄したことを報告すると大騒ぎになり、私の協力によって領地が繁栄していたことをカルスは知る。  翌日――カルスは謝罪して再び婚約して欲しいと頼み込んでくるけど、婚約する気はありません。

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?

ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。 一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?

木山楽斗
恋愛
子爵令嬢であるイルリアは、婚約者から婚約破棄された。 彼は、イルリアの妹が婚約破棄されたことに対してひどく心を痛めており、そんな彼女を救いたいと言っているのだ。 混乱するイルリアだったが、婚約者は妹と仲良くしている。 そんな二人に押し切られて、イルリアは引き下がらざるを得なかった。 当然イルリアは、婚約者と妹に対して腹を立てていた。 そんな彼女に声をかけてきたのは、公爵令息であるマグナードだった。 彼の助力を得ながら、イルリアは婚約者と妹に対する抗議を始めるのだった。 ※誤字脱字などの報告、本当にありがとうございます。いつも助かっています。

処理中です...