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第四章幸福と不幸は紙一重

32.人外大集合

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今さら言っても無意味だと言うことに気づいていないフレディーは後方から押し車を押す音が聞こえ振り返ると。


「ガウ」

「ギャオ!」


押し車を引く熊達、
その押し車の中には若い雄熊が雌熊に求婚をしていた。


「お前達もか!」

「ね?今さらじゃない?」

「なんで熊が押し車に乗っているんだ?色々おかしいだろ」

この島に秩序というものが存在しなかった。
何故なら既に魔熊だけでなく神格を持つ獣までも住み着き、生活をしている。

離島の方には動物たちだけの国までできている始末だ。


「フレディー、諦めなさい」

「ここは動物王国か?おかしいと思うのは俺だけか」

「いいじゃない、彼らがいたら侵略は無理だもの」


笑顔で言うアーデルハイドに頷けない。
現在ではカスメリア島に入る前に幾つかの島には魔熊達が住みつき、子孫を作り、現在は多くの魔熊が生活をしている。


その為、生身の人間が島を奪おうとしたら魔熊が襲って来る。
魔法を使おうにも、魔熊達は大地の加護を得ている所為か、地面を殴れま地震が起きたり津波になる。


近づく事さえ不可能だった。


「そのうちフレイアが要塞を作るとか言っていたわ。大砲とか」

「止めろ、冗談に聞こえないじゃないか」

「ええ、冗談じゃないわね」


高笑いをしながら黒い笑みを浮かべるフレイアを安易に想像ができる。


「嫌だ…あの魔女が支配する島なんて」

「でも、フレイアはこの島で生活する為に手続きを済ませていたわ」

「何だと!」


これまでは定期的に遊びに来る程度だったが、本格的に移住してきたとなればとんでもないことだ。


「なんでだ、祖国に帰って結婚すればいいだろう」

「本人曰く、自分より弱い男は嫌だとか」

「フレイアより強い男なんているか!無理を言うな」


この世でフレイアに強いの認めさせる男なんて人間でいるのか、と思った。


「探せばいるのではないかしら?運命の相手が」

「いるか?」

「私のお相手がいたのだから」


世界中探せばいると思っていた。
アーデルハイドにとって最高のパートナーがフレディーであったように、フレイアにもいるはずだと思った。


「君の時とは違うだろう…まぁ、俺もそうだが」

社交界の令嬢に嫌悪感を抱き、人生を共にするパートナーは要らないと思っていた。

平和な島で時折休暇を楽しめればいいと。


そんな日々を過ごしていたが、アーデルハイドと出会うことで変わることができた。


自分の責務から逃げ、役目を果たすこともできない自分に罪悪感を感じていたフレディーに新しい扉を開いてくれたのは、アーデルハイドだった。


もし、アーデルハイドに出会わなければどうしただろうか。


考えても仕方ないが、国に尽くしたい。
遠くからでも兄を支えたいという願いを叶えてくれたのはアーデルハイドだったかもしれない。

「さぁ、参りましょう」

「ああ」


何時も突拍子もないことをしでかす妻は目を離すと何をするか解らない。

けれど、すべてが幸せに繋がり、幸せへの道へ進める気がした。


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