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第四章幸福と不幸は紙一重
27.女医の提案
しおりを挟むフレイアとサクラによる拷問により四人は気絶していたまま放置された。
「まぁ、この程度にしてあげますわ」
「ああ、罪を憎んで人を憎まずだよ」
「何所が!」
散々拷問を繰り返し、もはや人でなしだと言われても仕方ない事をしている二人をフレディーは突っ込んだ。
「フレディー、学習しな。あの二人に言っても無駄だよ」
「だからってな…」
ステラは常識的な事をあの二人に言うだけ無駄だと理解していたが、あの二人も貴族の端くれだ。
善良な人間にこんな真似をするわけではない。
フレイアは大切な親友の為に仕返しをして、サクラも愛する妹と姪を傷つけた罰を与えただけだった。
そのやり方が、一般とはかけ離れていただけだったが。
「あの…ハイジさん」
「ドクター?」
一部始終黙って見守っていた女医達が手を上げる。
「その、魔女さん。発言をお許しいただけますか?」
「なんだい?」
さっきまで恐ろしい表情をしていたサクラは通常通りに戻り、女医達に笑顔を見せる。
「先ほどお仕置きをしていた彼等なのですが…」
「ああ、こいつ等かい?どうしたんだ」
「科学者としては実に興味深い肉体をお持ちかと…できましたら血液を調べて、今後の医療発展の為に使いたいのですが」
「いやいや、何言ってんだ先生!」
既に気絶している四人の不死身に近しい肉体に興味を抱く女医を止めようとするフレディー。
「彼は、並みならぬ生命力を持っております。実に興味深いですわ」
「確かに、ゴキブリ並みにしぶとかったねぇ?」
数時間に及ぶ拷問をして気絶したアイシャとグフタス。
モーギュストとマイラもしぶとかったが、その上を行く二人の神経の図太さはかなりの物だった。
「人間が持つ治癒力には限度があります…なのに、この二人の治癒力はその限度を超えているような気がします。彼等の採血し、効果的な薬を開発することができれば…」
「こいつらがねぇ?」
サクラはいまいちピンとこなかった。
魔力は一切ない彼等の血液は利用価値があるのだろうか?
「ん?いや、いい考えがあるよ」
「え?」
「血液を取るのもいいけど…もっといい方法を思いついた」
超人並みの体力を持つ彼等を有効に利用できる方法を思いついたサクラは再び黒い笑みを浮かべていた。
隣にいるフレイアもにニヤニヤ笑っており、さらなる嫌な予感がしたフレディーだったが、あえて知らないふりをすることにするのだった。
その方法とは――。
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