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第四章幸福と不幸は紙一重
25.史上最悪の悪
しおりを挟むアイシャとは違い、既に精神的にも疲れているモーギュストは抵抗をすることもなかったのに、フレイアは容赦なかった。
「さぁ、ご主人様とお呼び!」
鞭を取り出し、地面を弾くと、硬い地面に穴が開く。
「ひぃっ!!」
ブランターノ家の敷地内は地面が岩のように固く、鞭で叩いただけで穴が開くなんてことはありえない。
普通の鞭ではなく、魔道具の鞭であることが解る。
「あの黒い鞭…対グリフォン用のだわ」
「は?グリフォンだと!そんな鞭で叩いたら!」
アーデルハイドがポツリと囁いだ言葉をフレディーは聞き逃さなかった。
「殺る気満々じゃないか?あの男、死ぬよ」
「だが、殺さないと言っていただろう?」
「フッ、ジャン。甘いぞ」
ペトロは鼻で笑いながら、フレイアが命だけは奪わないと言った意味を理解していた。
「死なない程度に痛めつけズタボロにしても、死んでなければ問題ない。精神が止んでもな?」
「殺してくれた方が良い気がするんだが」
「だろうな?」
ジャンは恐ろしくなった。
精神が崩壊するまで拷問が続くなんて、殺してくれた方がずっといい。
けれど、それこそがフレイアのお仕置きだった。
「あいつ等、厄介な相手を敵に回したな」
「ああ、貴族だったならば、後々面倒だけどね?平民になり、不法侵入者でもある他国の罪人ならお咎めは受けないだろうよ」
「フレイ…」
モーギュストの末路は地獄以外ないのだとうんうんと頷きながらも、一応様子を伺うと。
「ほらほら!もっと動きなさいよ!」
鞭を自分の一部のように操り、モーギュストを痛めつけるフレイアはもはや悪魔なんて可愛い存在ではない。
悪の中の悪だと誰もが思った。
「フレイア、周りに火を焚こうかい?」
「あら?どうせながら崖に逆さで吊るしますわ。その下にはクロコダイルの群れを放ってね?」
「それはいいねぇ?まさに死の恐怖を味わえるよ」
「でも、徹底手的に痛めつけてからにしないといけませんわ!」
フレイアとサクラがさらに非道な真似をしていた。
「「「(酷い!)」」」
ここまでの残虐な行為はあるだろうか。
既に全身傷だらけで気絶しているのに対して、水をぶっかけて無理やり目を覚まさせ、また鞭で叩くの繰り返しだ。
「もう…殺して」
虫の生きの状態でなんとか言葉を放った言葉も空しく三時間に渡る拷問と、その後、崖からバンジージャンプをさせられ、その下にはクロコダイルの群れがモーギュストを狙っている恐怖に精神的におかしくなるのだった。
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