婚約者に冤罪をかけられ島流しされたのでスローライフを楽しみます!

ユウ

文字の大きさ
上 下
99 / 111
第四章幸福と不幸は紙一重

21.魔女か死神か

しおりを挟む



スケルトン軍隊に囲まれ、目の前には最恐の魔女が杖を手に持っていた。


逃げれば殺されるが、逃げなくても殺される。
どちらにしても最悪の結末が待っている四人を見て哀れに思わない者はいないだろう。


「ここまでくると同情するぜ」

「まったくだよ、最初から後悔するならしなければいいのにね」


フレディーとステラは、アーデルハイドを粗末に扱う事さえしなければ良かったのにと思った。


「あいつ等は馬鹿だから解らねぇんだよ」

「しかし、ペトロよ。解らんのだが」

「何がだ?」

ジャンは唸りながら考えても正解が見つからずペトロに問うた。


「ハイジは善意を善意で返してくれるだろう?虐げるような真似をせず、普通に家族として大切にしていればサクラ殿も怒らなかったはずだ…黙っていれば侯爵家の後見人でいたほうが良かった気がするが」

「だろうね?あのモーモーだったかい?あの坊やも馬鹿をしたね?黙っていれば侯爵家の人間になれたし、補佐になればそれ相応の地位も得られたってのに…馬鹿じゃないか?」

「馬鹿だからこうなっているんだろう?」

「うん、哀れなまでにお馬鹿だな」

「「「馬鹿だ!」」」


馬鹿を連呼する彼等は、同情と憐れみを向けるも助ける気は全くなかった。



「貴様!助けんか!」

「お姉様!なんて酷い女の…妹である私を!」

「アーデルハイド、俺とやり直そう…だから助け…ぐえ!」


「痛いぃぃ!」


口を開けば助けろや罵倒を浴びせるグフタスにアイシャ。
そして寄りを戻そうとするモーギュストは踏みつけにされてる。

既に口を開く元気がないン軍隊に囲まれ、目の前には最恐の魔女が杖を手に持っていた。



「俺はあの杖がどう見ても死神の大鎌に見えるんだが」

「同感だ、死神にしか見えないぞ」


フレディーとペトロは怯えながら言い放つも


彼等は約一名忘れていた。
サクラ同様に怒らせると手が付けられない人物が一人いることを。


ただ、目の前にいる美しき死神に処刑される場を見て怯えるばかりだったのだから。


「さて、どんな拷問がお望みだい?最後に選ばせてやるよ。私は優しい魔女だからね」


「何所がだ…ぐえ!」


まだ悪態をつく元気があったグフタスだったが、スケルトンの御者に腹部を踏みつけられ悲鳴を上げる。


「本当に学習能力がないね?黙っていることもできないのかね?やっぱりもっとお仕置きが必要だね?」

「ぎゃあああ!」

鞭を振り上げてさらなる拷問を待ち受けていた。



そして三時間に渡り鬼畜外道の拷問が終わった頃、グフタスは意識を手放し。
アイシャは目の前で震えていた。


「いっ…いや…助けて!」

「フフッ、アンタに裁きを与えるのは私じゃないよ」

「え?」


じりじり詰め寄るサクラは鞭を服の中に仕舞い、西の方向を指さす。


地面が揺れ、足音が聞こえる。


その方向には…


「げっ!フレイア!」


ちいの背中に乗りこちらに向かってくるフレイヤの姿が見えた。

遠目から見ても恐ろしい形相で笑っていた。


しおりを挟む
感想 291

あなたにおすすめの小説

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜

しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。 高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。 しかし父は知らないのだ。 ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。 そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。 それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。 けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。 その相手はなんと辺境伯様で——。 なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。 彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。 それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。 天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。 壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。

有能婚約者を捨てた王子は、幼馴染との真実の愛に目覚めたらしい

マルローネ
恋愛
サンマルト王国の王子殿下のフリックは公爵令嬢のエリザに婚約破棄を言い渡した。 理由は幼馴染との「真実の愛」に目覚めたからだ。 エリザの言い分は一切聞いてもらえず、彼に誠心誠意尽くしてきた彼女は悲しんでしまう。 フリックは幼馴染のシャーリーと婚約をすることになるが、彼は今まで、どれだけエリザにサポートしてもらっていたのかを思い知ることになってしまう。一人でなんでもこなせる自信を持っていたが、地の底に落ちてしまうのだった。 一方、エリザはフリックを完璧にサポートし、その態度に感銘を受けていた第一王子殿下に求婚されることになり……。

【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」 婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からくなっていました。 婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。 ハッピーエンド確定 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2022/10/01  FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過 2022/07/29  FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過 2022/02/15  小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位 2022/02/12  完結 2021/11/30  小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位 2021/11/29  アルファポリス HOT2位 2021/12/03  カクヨム 恋愛(週間)6位

お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】 私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。 その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。 ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない 自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。 そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが―― ※ 他サイトでも投稿中   途中まで鬱展開続きます(注意)

俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。

ミミリン
恋愛
ある世界の貴族である俺。婚約者のアリスはいつもボサボサの髪の毛とぶかぶかの制服を着ていて陰気な女だ。幼馴染のアンジェリカからは良くない話も聞いている。 俺と婚約していても話は続かないし、婚約者としての役目も担う気はないようだ。 そんな婚約者のアリスがある日、俺のメイドがふるまった紅茶を俺の目の前でわざとこぼし続けた。 こんな女とは婚約解消だ。 この日から俺とアリスの関係が少しずつ変わっていく。

愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす

リオール
恋愛
「俺はお前を妻と思わないし愛する事もない」  夫となったバジルはそう言って部屋を出て行った。妻となったアルビナは、初夜を一人で過ごすこととなる。  後に夫から聞かされた衝撃の事実。  アルビナは夫への復讐に、静かに心を燃やすのだった。 ※シリアスです。 ※ざまあが行き過ぎ・過剰だといったご意見を頂戴しております。年齢制限は設定しておりませんが、お読みになる場合は自己責任でお願い致します。

【完結】婚約破棄はしたいけれど傍にいてほしいなんて言われましても、私は貴方の母親ではありません

すだもみぢ
恋愛
「彼女は私のことを好きなんだって。だから君とは婚約解消しようと思う」 他の女性に言い寄られて舞い上がり、10年続いた婚約を一方的に解消してきた王太子。 今まで婚約者だと思うからこそ、彼のフォローもアドバイスもしていたけれど、まだそれを当たり前のように求めてくる彼に驚けば。 「君とは結婚しないけれど、ずっと私の側にいて助けてくれるんだろう?」 貴方は私を母親だとでも思っているのでしょうか。正直気持ち悪いんですけれど。 王妃様も「あの子のためを思って我慢して」としか言わないし。 あんな男となんてもう結婚したくないから我慢するのも嫌だし、非難されるのもイヤ。なんとかうまいこと立ち回って幸せになるんだから!

処理中です...