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第四章幸福と不幸は紙一重
21.魔女か死神か
しおりを挟むスケルトン軍隊に囲まれ、目の前には最恐の魔女が杖を手に持っていた。
逃げれば殺されるが、逃げなくても殺される。
どちらにしても最悪の結末が待っている四人を見て哀れに思わない者はいないだろう。
「ここまでくると同情するぜ」
「まったくだよ、最初から後悔するならしなければいいのにね」
フレディーとステラは、アーデルハイドを粗末に扱う事さえしなければ良かったのにと思った。
「あいつ等は馬鹿だから解らねぇんだよ」
「しかし、ペトロよ。解らんのだが」
「何がだ?」
ジャンは唸りながら考えても正解が見つからずペトロに問うた。
「ハイジは善意を善意で返してくれるだろう?虐げるような真似をせず、普通に家族として大切にしていればサクラ殿も怒らなかったはずだ…黙っていれば侯爵家の後見人でいたほうが良かった気がするが」
「だろうね?あのモーモーだったかい?あの坊やも馬鹿をしたね?黙っていれば侯爵家の人間になれたし、補佐になればそれ相応の地位も得られたってのに…馬鹿じゃないか?」
「馬鹿だからこうなっているんだろう?」
「うん、哀れなまでにお馬鹿だな」
「「「馬鹿だ!」」」
馬鹿を連呼する彼等は、同情と憐れみを向けるも助ける気は全くなかった。
「貴様!助けんか!」
「お姉様!なんて酷い女の…妹である私を!」
「アーデルハイド、俺とやり直そう…だから助け…ぐえ!」
「痛いぃぃ!」
口を開けば助けろや罵倒を浴びせるグフタスにアイシャ。
そして寄りを戻そうとするモーギュストは踏みつけにされてる。
既に口を開く元気がないン軍隊に囲まれ、目の前には最恐の魔女が杖を手に持っていた。
「俺はあの杖がどう見ても死神の大鎌に見えるんだが」
「同感だ、死神にしか見えないぞ」
フレディーとペトロは怯えながら言い放つも
彼等は約一名忘れていた。
サクラ同様に怒らせると手が付けられない人物が一人いることを。
ただ、目の前にいる美しき死神に処刑される場を見て怯えるばかりだったのだから。
「さて、どんな拷問がお望みだい?最後に選ばせてやるよ。私は優しい魔女だからね」
「何所がだ…ぐえ!」
まだ悪態をつく元気があったグフタスだったが、スケルトンの御者に腹部を踏みつけられ悲鳴を上げる。
「本当に学習能力がないね?黙っていることもできないのかね?やっぱりもっとお仕置きが必要だね?」
「ぎゃあああ!」
鞭を振り上げてさらなる拷問を待ち受けていた。
そして三時間に渡り鬼畜外道の拷問が終わった頃、グフタスは意識を手放し。
アイシャは目の前で震えていた。
「いっ…いや…助けて!」
「フフッ、アンタに裁きを与えるのは私じゃないよ」
「え?」
じりじり詰め寄るサクラは鞭を服の中に仕舞い、西の方向を指さす。
地面が揺れ、足音が聞こえる。
その方向には…
「げっ!フレイア!」
ちいの背中に乗りこちらに向かってくるフレイヤの姿が見えた。
遠目から見ても恐ろしい形相で笑っていた。
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