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第四章幸福と不幸は紙一重
20.無残な姿
しおりを挟む繭で包まれた物体が転がされる中、見知った顔ぶれであることが解った。
「離さんか!」
「苦しい…助けてぇ!」
四体のそれは、アイシャ達だった。
「こっ、これは…惨い!惨すぎる」
「頭から下はぐるぐる巻きにされているな。既に人としての扱いはない」
「囚人以下だね」
「自業自得とは思うが…あれだな」
地面に転がされる四人はあまりにも割れだったが、口を封じられていないだけましだった。
「仕事が早くて助かるよ」
「カラカラ!!」
口を動かし音を鳴らすスケルトンにサクラは褒美を差し出す。
「これは報酬だ」
袋の入っているのはお金かと思いきや。
「何で野菜?」
「彼等はベジタリアンだよ」
「スケルトンって野菜を食べるのね」
「いや、そこ違うだろ!」
こんな状態でも天然な発言をするアーデルハイドだったが…
「お姉様?」
「むっ、アーデルハイドか!今すぐ私達を開放するよう言うのだ、命令だ…むぐ!」
グフタスが情けない恰好でアーデルハイドに命令をしようとするも背後から馬車の馬に噛みつかれる。
ただし骸骨であるが。
「ぎゃああ!!」
「いやぁぁぁ!来ないで!」
見た目は恐ろしい化け物だったので二人は悲鳴を上げる。
「おい!何をぼさっと見ている。早く助けんか!」
「そうよ!助けなさいよ!誰の所為で…いたぁぁぁ!」
グフタスとアイシャがさらに罵倒を浴びせようとすると、背後から御者がブーツで踏みつける。
そして鞭を取り出し二人を殴る。
「やめてぇ!」
「何をする!」
鞭で叩く音が聞こえ、二人は悲鳴を上げていた。
その様子を見ていた一同が思ったのは。
「あいつ等、学習能力ないのか?」
「馬鹿だ…馬鹿すぎるよ」
「あの状況で大人しくすればいいのに」
「だから奴らは馬鹿一家なんだ。特にあの二人は…一度死んで生まれ変わった方がいいかもしれないな」
アーデルハイドを除く一同は言いたい放題だったが、口を封じられていないので悪態をつき続けるだけだった。
悲鳴を上げながらも、ギャアギャアと叫び助けろと文句を言うのでさらにむち打ちは激しくなる一方だった。
「本当に馬鹿だと思わないか?クズギュスト」
「ひぃ!」
二人を放置し、気絶した振りをするモーギュストに剣先を突きつける。
「どの面下げでこの島に来たのか教えて欲しいねぇ?王妃陛下の慈悲を踏みにじって何をしようというんだい?本来ならアンタは死刑になってもおかしくないんだ」
「ひぃ!助け…」
「お黙り!」
「うっ!」
顔を思いっきり踏みつけながらも気絶しない程度に力を抑えるサクラ。
「安心しなよ?気絶なんてさせないよ?まぁ、気を失っても電流を流してやるよ」
「あっ…ああ」
「さぁ、楽しい、楽しい拷問の始まりと行こうじゃないか?」
腹黒い笑みを浮かべるサクラは魔女のスイッチが入ってしまった。
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