婚約者に冤罪をかけられ島流しされたのでスローライフを楽しみます!

ユウ

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第四章幸福と不幸は紙一重

18.魔女と地獄烏

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急な地響きに誰も怯えだす。
これまで派手な登場をすることはあったが、今回ばかりは違った。



ゴロゴロ!!


「おいステラ…いきなり空が」

「ああ、今日一日は晴れだった…って!なんだい、あの大群の黒い鳥は!」


空には黒い鳥の大群が集っている。


「あれは地獄烏」

「え?烏?」

「ああ…ただし、魔力が強い者が使役する使い魔だ」


地獄鳥とは異なり、地獄烏とは気性が荒く凶暴なのに知性を持ち合わせている。


「あまりにも気性が荒く、普通の魔女では使いこなせない。伝説の魔鳥だ」

「あの、糸を引いてるのだけど」

窓からそっと見ると、大群の地獄烏の足には糸が括りつけられている。


その下を見ると。


糸が吊るされている下を見ると。


「なんでブランコ?おかしいだろ!」

「初めて見たね、地獄烏を乗り物にする人間…まぁ、魔女だけど」

「何か根本的に違う!」



一同が見たのは、大群の地獄烏の足に糸を結び、空飛ぶブランコのようだった。


しかもそのブランコに乗っているのはサクラだった。


「ハイジ!!」

「サクラ伯母様!」


「待て、外に出ると危ない!」


アーデルハイドが窓から顔を出そうとすると、フレディーが急いで止めようとするも。




「今から降りるよ」

「「「は?」」」



サクラの言葉で全員が冷や汗を流す。



「待て待て!我が邸を壊す気か!」

「もう落ちているよ!」

「わぁぁぁ!避難だ…とにかく邸から出るんだ!」

「姫さん!急ぐぞ」

「え…ええ!」


フレディーとペドロに急かされ、無理やり邸の外にでると同時に、サクラはそのまま邸に急降下して、邸の屋根が粉々になってしまった。


「私の城ぉぉぉ!!」

「こら、行くんじゃないよ!危ないだろ」

「先日新しく張り替えたばかりなんだぞ!屋根が…しかも落ちた先はかまどのある場所じゃないか!私のかまど!」


泣きながら邸の中に入ろうとするも、屋根が粉々になり、瓦礫が落ちてきそうなので羽交い絞めにして止められるジャンは悲鳴を上げていた。



「相変わらず情けない男だ」

「サクラ殿!私の邸が!」

「後で、修理させるよ…そこの坊主が」

「俺がするのか!」


サクラの魔法なならばすぐに修復することもできるのにあえてフレディーに押し付けるあたりがサクラだった。



「サクラ伯母様…」

「急ぎだったんでね、地獄烏で来たんだよ。一番早いからね」


空飛ぶ馬車や箒よりもずっと早いのは確かだった。


「あの馬鹿共が、亡命したという情報を得てね…聞けばノロの島に向かったと聞いたときは、正気の沙汰かと思ったよ」


「まぁ…あの人達には信仰の欠片なんてありませんので」

祝女の島は信仰心が強い人間や、過去に罪を犯し懺悔したくて、祝女に罪を洗い流してもらうために行く島でもある。

アイシャ達が反省なんてするはずがないのだから。


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