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第四章幸福と不幸は紙一重
9.女司祭達
しおりを挟むその頃、誤解が誤解を生んだ結果、アイシャ達が到着した島では。
「何よここ!」
「老人ばかりではないか!」
通行人に案内され、一日かけて到着した離島に到着したのも束の間。
そこは俗世を捨てた者達が集まっていた。
老婆の集まりに、島の住民は頭を下げ有難がってる。
「ここが祝女様の島だ」
「「「は?」」」
「ノロ、ノロ言っていたさ?」
親切にここまで案内してくれた通行人は満足げに笑みを浮かべている。
「祝女様ぁ!」
「はいさい」
「はいさい!」
男は挨拶を交わしながら膝をつく。
二人で何やら話し込むも、アイシャ達には何を話しているか全く理解できなかった。
「どうなっているの?ノロって何?」
「私達は出家に来たわけじゃないわよ!何でこんなことになっているの!」
「私が知るか、何かの手違い…」
そう思ったグフタスだったが、唯一読める文字を見つけた。
「異国の女祭司の島…祝女?」
「もしかして、ノロって…カルフェオン王国の年老いた女祭司の事なんじゃ。鈍間をノロと勘違いしたんじゃ?」
「なんだと!ではここは…」
「おそらくカスメリア島ではありません」
モーギュストの言葉にショックを受ける。
しかし、既に後悔しても遅かったのだ。
わらわらと祝女の集団が現れる。
「お前達か…」
「他国からの信仰者か…よかろう」
「これより、聖地に籠り断食を行いながら滝に打たれ、身を清めるがいい」
共通語だったので言葉は理解できたが、最悪だった。
「ちょっと待て!」
「何?焦る出ない…そんなに修行をしたのだな?今から身を清めた後に有難い話をしてやるぞ」
「さぁ、まずは服をこれに着替えて裸足になるのだ」
祝女の側近達に服を与えられるも、祖国では見たことがないものだった。
「これより座禅を五時間行い、祈りを捧げた後に断食を三日間行う。そして滝行をした後に我らの聖地で三日三晩祈りを捧げ、懺悔を行い、許しを請うのだ」
「待て…断食に祈りだと!」
「冗談じゃないわ!何でそんなことをしないといけないのよ!」
勝手に決めて行く祝女達に引きずられていく。
必死で抵抗しようとするも、彼女達の力は強くとても高齢には思えなかった。
「人の話を聞けと言っている!」
「何、怖がることはない。辛いのは最初だけだ、慣れれば心地よくなる。さぁ着替えを」
「「「「着替えを!」」」
祝女に仕える者達が一同を小屋に放り込み、そのまま服をはぎ取り、されるがままとなるのだった。
着ていた服は処分され燃やされてしまい、身動きが取れない状態になりながら離島に強制連行されるのだった。
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