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第四章幸福と不幸は紙一重
3.嫌な風
しおりを挟む崖から風を感じながら、嫌な感じがする。
「なんか寒気が」
モーニングコーヒーを飲みながらフレディーは嫌な予感がした。
「遊びに来たわよ!」
バァン!
グシャ!
「俺の家の扉ぁぁぁ!」
嵐は突然にやって来る。
フレディーにとって嵐はフレイアだったのだが…
「来るなら事前に連絡しろと、何度言ったら理解するんだ」
「手紙なら出したわよ。ほら」
「何でお前が持っている!手紙の意味ないだろ!」
手紙を奪い取り見ると日付は三日前った。
「仕方ないでしょ?旅先から手紙を出したんだから」
「お前が持ってくるなら手紙を出す必要あるか?」
「だって、来る前に事前に報告しろって言ったんでしょ?」
「屁理屈って言葉知っているか!」
ああ言えば、こう言うフレイアに行っても無駄だと解るが言わずにいられなかった。
「折角邪魔な奴を排除出来ていい気分なのに」
「ああ、あの馬鹿一家か?」
懐から新聞を取り出す。
「これであの馬鹿達を排除出来たわ」
「ひとまず安心か…」
完全とは行かないが権力を奪うことに成功すれば、権力を使って何かをすることはできないだろう。
「ギルド達の家族には私から手紙を出しておいたから心配ないわ…それにしても」
コーヒーを飲みながら、働きづめのアーデルハイドを心配する。
「少しはゆっくりしたらいいのに」
「同感だ、リゾート地の次は診療所と病院に学校の設立。休み無しだ」
「あれじゃあ、本当に倒れるわ。何とかしないさいよ?一応夫でしょ?」
「一応じゃない!」
フレディーは拒否しながら叫ぶ。
「いいか、ハイジは俺の妻だ。いい加減俺達の夫婦生活を邪魔するんじゃない!」
「あら?余裕がないわね…貴族と違って平民は離婚も簡単なのよ?」
「するか!」
「決めるのはハイジよ」
ニヤニヤ笑う、フレイヤはかなり底意地が悪い。
フレイヤも本気でそんなことを思っていなかったが、フレディーを見るとどうしても嫌味を言いたくなるのだ。
「ハイジは俺を愛している」
「まぁ、今はね?」
「今だけじゃない、それに子供ができれば絆はもっと強くなる」
「負け惜しみを」
ハッと鼻で笑うフレイヤにカチンとなるフレディーはすっかりペースを乱されていた。
その後も好きなだけくつろぎながら、邸を後にした後に、レイジの住む邸に向かったのだった。
「フレディー?どうしたの?」
「ハイジ、俺は君との間に早く子供が欲しい」
「は?」
夕食の準備をするアーデルハイドにフレディーはいきなりとんでもない事を口にした。
「診療所と病院が落ち着いたら子供を作ろう」
「は?何言ってるの!」
ここは自宅ではなく寮となっている邸だった。
上の階にはオルランド王国から派遣されてきた女医や教師達がいるのにも関わらず厨房でとんでもない事を口走る。
「俺は君を愛している。だから愛の結晶を残そう…君との子供はきっと可愛いはずだ」
「フレディー、場所を考えてくれる?しかも職務中ですわよ」
「解っているけど、少しは考えてくれてもいいだろう?」
普段が頼りがいがあるが結婚してから家庭に入り、少しだけ我儘を言うようになったフレディーは、そろそろ子供が欲しいと強請った。
「フレディー、そういった発言はどうかと思いますわよ」
「ドクター!貴女からも何とか言ってくれ。やっぱり子供は早めに作るべきだと思うんだ…俺とハイジの相性は問題ないと産婦人科のドクターも言っていた」
「何時の間に調べたんです」
「当然」
ドヤ顔をするも全然カッコ良くないと思うアーデルハイドは呆れた。
子供を作るには体質もあるが、名医達がのおかげで現在島では出産する環境も整い、妊娠しにくい女性の為に色々対策もしている。
その陰で出産率上がっているのだが、それを利用してフレディーは子供ができた時の為に準備をしていた。
「フレディー、少しお話をしましょうか?」
「え?」
微笑みながらも目が笑っておらず、秘密の扉を開き地下に連行されていく。
そしてその夜、アーデルハイドにこっぴどく怒られたフレディーは撃沈したのは言うまでもなかった。
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