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第四章幸福と不幸は紙一重
1.他国の医師達
しおりを挟むリゾート地の計画により、十分な資金を調達することが叶った後に、カスメリア島には多くの医師を集めることが叶い、現在は診療所と病院施設を設けることに成功した。
派遣された医師は国外の医師に限定した。
特に、こだわったのは女性医師を複数派遣して欲しいとのことだった。
未だに男尊女卑が激しく、女性が君主を務める国では色々と問題が生じている。
そこで名乗りを上げたのがフレディーの祖父でありケニスワールの父でであるエドモンドだった。
大国であるアルテリアと友好的な関係を結んでいる国に女王が国を治めている国がある。
未だに女性が王位に就く事を良く思っていない臣下も多く。
女王が女性の地位向上を目指すも、賛同者が少なく悩んでいるとのことだった。
女性でありながら医師として活躍しながらも、孤立している女医。
事業をしている女商人等も、苦しい思いをしていると聞かされたアーデルハイドは彼女達を島に受け入れ、その才能を生かして欲しいと思った。
交渉の結果、女王陛下は快く了承し。
男尊女卑を絶対だと思う臣下も厄介者払いができると思い、快く了承してくれた。
そのおかげで、早い段階に診療所や病院に腕の良い医師を招くことができた。
今日は彼女達を迎える日だった。
「ようこそおこしくださいました。オルランド王国の皆様」
「この度は、誠にありがとうございます。不自由をおかけいたしますが、どうかよろしくお願い申し上げます」
「どうか、よろしくお願いしたします!先生!」
アーデルハイドを筆頭に島の住民は大勢で迎え頭を下げる。
「どうか、頭をお上げください。皆様」
大勢で出迎えられ、エルランド王国から来た医師や他の女性達は驚くばかりだった。
祖国ではまず、こんな丁寧な扱いは受けないし、大勢で出迎えられるとは思っていなかった。
「私はジャン・ブランターノでございます。こちらに控えておりますわ、この島のご意見番のアーデルハイドとその夫のフレディーでございます」
「ブランターノ?まさか、我が国と貿易をなさり、勅使として足をお運びなっていらした子爵様ですか」
「私は元平民でございます。どうか、かしこまらないでくださいませ」
ジャンは、ひと月前に領地改革の功績により爵位を上げられることになった。
現在は男爵から子爵になり、出世をしていた。
「我が国に薬草を売ってくださったおかげで患者は救われたのです」
「薬草の採取は私ではなく、彼女です」
「こんな若い方が…」
筆頭である女医はアーデルハイドを見て驚く。
てっきりもっと年配の老人だと思い込んでいたのだから。
「我が領地は、少し前までは何もない島にすぎませんでした。貧しく豊かではなかったのですが、彼女の手腕により島は変わりました。今ではカルフェオン王国一の食の宝庫と呼ばれている程です」
「まぁ…女性が?」
「他国の事は存じませんが、我が国は男尊女卑はあまりありません。実力主義です。特にこの島は女性が元気でしてね…男の方が弱いですよ」
ジャンの言葉にオルランド王国から来た女性陣は驚く。
女性の立場が余りにも弱かった国からすれば当然だったのだから。
「ですが、島の住民は知識が乏しく、教養を持ち物が少ない。故に先生方のお力をお貸しいただきたいのです。大変優秀な方とお聞きしておりました。先生方にはこの島で教鞭も振るっていただきたく思います」
「まぁ…それほど私達を」
「光栄ですわ」
医師と一緒に派遣された教師達もここまで必要とされることはなかったので嬉しそうにする。
「どうか、末永くお願い申し上げます」
「「「お願い申し上げます」」」
出迎えた住民はそろって頭を下げ、オルランド王国から来た女性陣も頭を下げた。
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