婚約者に冤罪をかけられ島流しされたのでスローライフを楽しみます!

ユウ

文字の大きさ
上 下
78 / 111
第三章栄華が終わる時

23.没落の果て

しおりを挟む



爵位を奪われ平民となったアイシャは両親と共に貴族街からも追い出されることになった。


通常平民は貴族街に入ることは叶わない。
下町から貴族街に入るための門には門番がおり、許可がなければ勝手に入ることはできない決まりだった。


アイシャ達が住まう場所は町から少し離れた場所にある邸で平民が暮らすよりは広い、下級貴族が住まう邸だった。


質素な邸であるが四人で暮らすには十分な広さがあるが、使用人を雇う余裕もなく。
爵位を無くしたグフタスは仕事に行くこともなく酒と女に溺れる暮らしを繰り返しながら、邸に娼婦を連れ込む日々が続いていた。


毎日のように両親の喧嘩が続き、酷い時はアイシャの事で喧嘩する始末だった。

「いい加減にしてちょうだい!仕事もしないで毎日女を連れ込んで!」

「女を連れ込んで何が悪いんだ!貴族が愛人を持っているのは当然だ。お前の時のようにな!」

「もう貴族じゃない癖に!」

「うるさい!」


新しく仕事に就こうにも、残った金銭で商売を始めようにも上手く行かず。
ギルドマスターに睨まれてしまったことで、真面な商人は近づくこともあかったので、詐欺にお金をだまし取られてしまった。


その所為でギルビット家が残してくれたお金もほとんどなかった。
そのお金も、ギャンブルや酒につぎ込まれてしまい、アイシャもマイラも真面な食事にありつくことができなかった。


「モーギュスト様!実家にお金を貸してもらえるように言ってください」

「無理だ。勘当されているんだぞ」

「家族でしょ?困っているなら助けるのが当然よ」

どの口を言うのか。
その家族を国外追放にまで追いやった張本人が良く言えたものだとモーギュストは思ったが黙っているのが賢明だと思った。


モーギュストはアイシャと結婚してから口数が少なくなり、一人部屋に閉じこもることが多くなった。


「何処に行くんですの!」

「部屋に戻る」

八つ当たりされるのもうんざりしながらも、帰る場所はないモーギュストは部屋にこもった。



「こんな生活…耐えられない」


両親が罵倒を繰り返す中、己の不幸を嘆く。

「どうして…お姉様の所為よ」


ここにいないアーデルハイドを憎みながらすべての元凶はあの女だと思い込む。

「そうよ…お姉様が全部悪いのよ。お姉様の所為で私はこんな不幸になっているんだから!」


独り言をブツブツ言いながら、学園での噂を思い出す。


「私がこんなに不幸なんだから…お姉様はもっと不幸でないと…平民になって島流しになったお姉様はきっと貧乏な暮らしをしているはずよ」

貴族が平民として生きていけるわけがない。
しかも頼れる人もいない隣国では息を潜めて生きているはずだと思い込んだ。


「そうよ…お姉様に会いに行って連れ戻せばいいんだわ!そうすれば貴族に戻れるわ」


こんな真面目な生活は自分にふさわしくない。
貴族として贅沢な暮らしをして、面倒な事をアーデルハイドに押し付ければいい。

これまでのように。
モーギュストだってアーデルハイドと寄りを戻したいはずだと思ったアイシャは直ぐに部屋を出て行く。


そしてアーデルハイドに会いに行く決断をするのだった。



しおりを挟む
感想 291

あなたにおすすめの小説

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹
恋愛
常々、社交を苦手としていましたが、今回ばかりは仕方なく出席しておりましたの。婚約者と一緒にね。 その席で、突然始まった婚約破棄という名の茶番劇。 頭がお花畑の方々の発言が続きます。 すると、なぜが、私の名前が…… もちろん、火の粉はその場で消しましたよ。 ついでに、独立宣言もしちゃいました。 主人公、めちゃくちゃ口悪いです。 成り立てホヤホヤのミネリア王女殿下の溺愛&奮闘記。ちょっとだけ、冒険譚もあります。

毒家族から逃亡、のち側妃

チャイムン
恋愛
四歳下の妹ばかり可愛がる両親に「あなたにかけるお金はないから働きなさい」 十二歳で告げられたベルナデットは、自立と家族からの脱却を夢見る。 まずは王立学院に奨学生として入学して、文官を目指す。 夢は自分で叶えなきゃ。 ところが妹への縁談話がきっかけで、バシュロ第一王子が動き出す。

【完結】元婚約者の次の婚約者は私の妹だそうです。ところでご存知ないでしょうが、妹は貴方の妹でもありますよ。

葉桜鹿乃
恋愛
あらぬ罪を着せられ婚約破棄を言い渡されたジュリア・スカーレット伯爵令嬢は、ある秘密を抱えていた。 それは、元婚約者モーガンが次の婚約者に望んだジュリアの妹マリアが、モーガンの実の妹でもある、という秘密だ。 本当ならば墓まで持っていくつもりだったが、ジュリアを婚約者にとモーガンの親友である第一王子フィリップが望んでくれた事で、ジュリアは真実を突きつける事を決める。 ※エピローグにてひとまず完結ですが、疑問点があがっていた所や、具体的な姉妹に対する差など、サクサク読んでもらうのに削った所を(現在他作を書いているので不定期で)番外編で更新しますので、暫く連載中のままとさせていただきます。よろしくお願いします。 番外編に手が回らないため、一旦完結と致します。 (2021/02/07 02:00) 小説家になろう・カクヨムでも別名義にて連載を始めました。 恋愛及び全体1位ありがとうございます! ※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。(10/27追記)

もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」 婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。 もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。 ……え? いまさら何ですか? 殿下。 そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね? もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。 だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。 これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。 ※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。    他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね

ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。 失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

妹ばかり見ている婚約者はもういりません

水谷繭
恋愛
子爵令嬢のジュスティーナは、裕福な伯爵家の令息ルドヴィクの婚約者。しかし、ルドヴィクはいつもジュスティーナではなく、彼女の妹のフェリーチェに会いに来る。 自分に対する態度とは全く違う優しい態度でフェリーチェに接するルドヴィクを見て傷つくジュスティーナだが、自分は妹のように愛らしくないし、魔法の能力も中途半端だからと諦めていた。 そんなある日、ルドヴィクが妹に婚約者の証の契約石に見立てた石を渡し、「君の方が婚約者だったらよかったのに」と言っているのを聞いてしまう。 さらに婚約解消が出来ないのは自分が嫌がっているせいだという嘘まで吐かれ、我慢の限界が来たジュスティーナは、ルドヴィクとの婚約を破棄することを決意するが……。 ◆エールありがとうございます! ◇表紙画像はGirly Drop様からお借りしました💐 ◆なろうにも載せ始めました ◇いいね押してくれた方ありがとうございます!

処理中です...