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第三章栄華が終わる時
21.裁判の判決
しおりを挟む生徒指導の教師に連れていかれた二人の元には何処かで見たことがある男性がいた。
「お久しぶりですね、アイシャお嬢様?」
「どなたですの?」
アイシャの言葉に呆れて物も言えなかった。
傍に控えている女性は、無表情で睨みつけている。
「ご自分の家の顧問弁護士のお顔をも忘れるとは」
「は?」
「ゾフィー様」
ここまで馬鹿とは思わなかったと言いたげだった。
「どなたですの?失礼な人ね!私を誰だと解って…」
「あら?失礼なのはどなたですの?私は伯爵夫人。爵位もない、没落寸前の恥知ら馬鹿娘に失礼だなんて言われるいわれはありませんわ?ああ、教養の欠片もないのでしたね?失礼」
「なっ!私は…」
「まぁ、そんな世間話はどうでもいいですわ。本題に入りましょう」
これ以上の言い合いは時間の無駄だと告げ、ゾフィーは話を進める。
「ドギーマ弁護士」
「はい」
書類をテーブルに並べ、二人にはその場で告げる。
「この度、裁判の後半戦はなくなりました」
「「え?」」
「正確には必要が無くなったと言うべきでしょうか」
出された書類は裁判に関する物だった。
しかし、二人は書類を見ても詳細を理解できる程の頭を持ち合わせていなかった。
しかし、裁判の必要がなくなったと聞かされ二人は笑みを浮かべる。
「ふっ…フフッ、当然だわ。裁判をするまでもなかったのよ…私が裁かれるはずがないだから」
「そうだ…裁判をしても負けるから…」
「違いますよ」
二人は勝ち誇った笑みを浮かべ、自分達の身の潔白が証明されたと思った。
「何を馬鹿な事を言ってますの?裁判をするまでもなく、二人は裁かれるからです。通常は裁判を行う罪を明確するのですが…今回は裁判を続行する必要がなくなりました」
「なっ…何で」
「罪に加担していた数名の貴族が自白しました。アーデルハイド嬢を陥れる為に罪を犯したこも」
ゾフィーの淡々とした口調にアイシャは固まった。
「そうそう、アーデルハイド嬢を追放まで手引きした貴族の数名は既に囚われております。無断で兵を動かし、王の許可なく、王侯貴族の令嬢に暴行及び、虚偽の情報を流し、島流しにしたことは殺人未遂と同じ罪に等しいですわ」
「殺人未遂…」
真っ青になる二人にドギーマはさらに続ける。
「既に殺人容疑があるお二人にお身内の殺人未遂の罪が追加されました」
鉱山の土砂崩れ事件は、事故だと言っているが、状況から見れば事情に悪質で事故だけで片付けることはできなかった。
既に二人は殺人容疑として処理されていたが、さらに厄介なのがアーデルハイドを計画的に追い詰め国外追放にしたことだった。
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