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第三章栄華が終わる時
16.日の当たる場所
しおりを挟むその頃、カスメリアでは新しい改革が行われていた。
無人島を買い取りバカンスの地にすべく女性陣が率先して動いていた。
「やっぱりバカンスにはお洒落な宿が良いと思います!」
「宿も大事だけど、サロンもあった方が良くないかい?」
「狙い目はお金を持っている下級貴族です!」
既に無人島の改革は進み、貿易をする船も用意できていた。
乗組員も確保し料理人の数確保していた。
海の駅も順調だった。
資金は着実に溜まってきているので後はバカンスの地に観光客を呼び込むだけだった。
「ハイジちゃん、どうして下級貴族がいいんだい?」
「そうだよ」
貴族社会のことを何も知らない島の女性は高位貴族を呼び込む方が確実だと思った。
「下級貴族は元商人の方が多いですし。元は平民です。対する高位貴族よりもお金を落としてくれます。高位な方は貴族専用のリゾート地や、ご自身の領地をお持ちですし」
「確かに…あんな小さな無人島に来ることも考えにくい」
「それに高位貴族の方は自分だけのリゾート地が欲しい方が多いですし、他の観客がいるのを嫌います。それでは売り上げが少ないと思いませんか?」
「ああ!」
一般的には高位貴族に貸し切りにしてもらえば利益があると思われがちだが、一部だった。
平民が経営するリゾート地で代金の踏み倒しもあればクルージングを貸し切りにしろなんて言いかねない。
ならばちゃんとお金を払って尚且つお金を落としてくれそうな下級貴族や商家の奥様が望ましかった。
「このご時世、貴族よりも商人の方がお金を持っています。特に未亡人等はね?」
「確かに!それに女は何時だって美しくありたいからね」
「そうです。美を追求したがる女性をターゲットにして健康にいい食材を使った食事、そして島の特産物を売って、売って売りまくるんです!」
「こりゃやりがいがあるよ!」
「よぁつしゃぁぁあ!私達の時代が来たよ!」
情報も届かない僻地でくすぶっている女性陣だが、十分なスキルを持っている。
「まずはお金を持っている商人の奥様を団体で招きます。そこで宣伝します」
「新聞とかじゃないのかい?」
「甘いですよ奥様、新聞で宣伝なんかしたらどれだけ費用が掛かるか。無料で宣伝するんです!」
経費はできるだけ抑え、尚且つ大幅な宣伝をしてもらう。
倹約できるところは倹約して使うべき所は使うのがアーデルハイド流だった。
「さぁ、皆さん!これからが勝負ですよ」
「「「おおお!!」」」
かくして女達の時代を築きあげるべく立ち上がったアーデルハイド達。
「怖いな…」
「ああ、革命でも起こされそうな」
島の女達が大きな改革をしている中、夫達はというと。
「おらおら!働きな男達!」
「「「サーイエッサー!!」」」
サクラに扱き使われ鞭でビシバシ打たれていた。
一部では喜んでいる男もいるのだった。
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