婚約者に冤罪をかけられ島流しされたのでスローライフを楽しみます!

ユウ

文字の大きさ
上 下
64 / 111
第三章栄華が終わる時

9.鞭と電撃

しおりを挟む
目の前にモノクロの世界が広がっている。

困惑するリリスの目の前に何者かが現われた。

ブルーのストライプの入った白い鳥。
それは風の亜神降臨の為の二番目のキー、レイチェルの使い魔だ。

自分の目の前を通り過ぎたのはレイチェルだったのね。

そう思っていると頭上から赤い塊りが降りて来た。

赤い龍。
それはロキの使い魔である。

「ロキ様まで! どうしたんですか?」

困惑するリリスの目の前で、赤い龍は制止して目をぎろっと見開いた。

「ううむ。やはり時空の歪が生じ始めておるようだ。レイチェルの言う通りだな。」

時空の歪?
どうしてそんなものが?

リリスの思いを察するように、白い鳥がリリスの方に向いて口を開いた。

「リリス。あんたの周囲に時空の歪が生じ始めているのよ。自分では自覚が無いのでしょうけどね。」

「その要因は多分・・・・・その子・・・」

白い鳥が動きの止まっているサリナの方に目を向けた。

その動きに合わせて龍もサリナに目を向けた。

「この子は何者だ? お前と何故か魔力同士で干渉してしまうようだが、その理由が良く分からん。」

「それはそのぅ・・・」

リリスはサリナが、自分の居た元の世界からの召喚者の子孫である事を簡略に説明した。
その説明に龍はほうっ!と驚きの声をあげた。

「そのような事があるのだな。お前とサリナとの出会いは偶然の所産だとしても、それが引き金になって時空の歪を生み出そうとしているのかも知れん。いやむしろ、スキルの発動が引き金となって、時空の歪を生じさせようとしているのか・・・。いずれにしても正体不明の不気味なスキルを発動させるのは辞めて貰いたいものだな。」

「不気味なスキルって産土神関連のスキルですか?」

「違う!」

龍は声を荒げて身体をくねらせた。

「時空の歪に関わるスキルだ。本当にスキルなのか否かも疑わしいのだが、お前にステータスには何と表記されているのだ?」

「それって異世界通行手形の事ですかねえ。」

リリスの気の抜けたような返答に龍は呆れて目を見開いた。

「何を呑気な事を言っておるのだ!」

そう言われても、リリス自身もこのスキルの事は良く分からない。
龍の荒い口調をスルーしてしまった。
その様子を見ながら白い鳥が少しフォローに入る。

「その様子だと、自分でも良く分かっていないようね。」

「それでそのスキルは何処で手に入れたの?」

白い鳥の言葉にリリスはう~んと唸って考え込んだ。

「気が付いたら手に入れていたのよ。私の魂に紐付けられている元の世界の痕跡が刺激され、時空に歪に巻き込まれて戻ってきたら、いつの間にかステータス上に現れていたのよ。」

リリスの説明に白い鳥も龍も首を傾げる仕草をした。

「そもそもネーミングが人を小馬鹿にしているよな。通行手形と言うからには通行許可書と言う事なのだろう? この場合、誰が許可権者なのだ? 異世界の者か? この件に関しては、我々の世界では全く関知していないぞ。」

「おそらくリリスの魂に紐付けられた元の世界の痕跡と、何らかの形で連動しているのだろうがな。」

そう言いながら龍はその身体から魔力の触手を伸ばし、その先端をリリスの足首にスッと撃ち込んだ。
その途端にリリスの身体が熱くなり、魔力が身体中を循環し始め、異世界通行手形のスキルが発動準備を開始してしまった。

拙い!

戸惑うリリスの身体を龍は魔力で抑え込み、その圧で無理矢理リリスの身体を循環する魔力の流れを止めてしまった。
その衝撃でリリスは眩暈を感じ、その場に座り込んでしまった。

「悪かったな、リリス。両者の関連性を確かめて見たかったのだ。」

予告も無しに、そんな事をしないでよ!

フラフラしながらリリスは立ち上がった。まだ足が震えていて頭が重い。
止む無く細胞励起を自分を対象として発動させると、徐々に身体が楽になって来た。

「スキルと言うには疑問が多い。むしろお前を呼び戻すためのトリガーのようなものか?」

龍はそう言うと頭を抱え込む仕草をした。

「どうしてここまでお前に拘るのだ? まるで悪質なストーカーに付き纏われているようなものではないか。お前の元の世界での身体の遺伝子情報に、その世界の重要な構成要素が格納されていたとしても、その代替えは何とでもなるだろうに。」

「リリスが魔力の厚みを増し、6属性を揃える事で、その存在のステージを格段に上げたとは言え、この拘り方は尋常では無いと思うぞ。」

そう言われてもねえ。

「ロキ様。私もそれが腑に落ちないんですよね。私って元の世界では本当にありふれた存在でしたから・・・」

リリスの言葉に龍はふと問い掛けた。

「そう言えば、お前の元の身体はもう存在しないのか?」

「はい。召喚の際の事故で極度に老化し、ボロボロになってしまったとロスティア様から聞いています。」

「う~む。遺伝子情報なら何処かに残っていないものか・・・・・」

龍はそう言うと考え込む仕草をした。

「いずれロスティアと情報交換をしてみよう。何かヒントがあるかも知れん。」

「リリス。とりあえずその異世界通行手形と言うスキルには、儂なりに制限を掛けておく。どこまで有効かは分からんがな。」

龍は話を終えるのと同時に魔力の触手をリリスの足首に撃ち込み、軽く魔力を流し込んだ。
その魔力によるスキルの発動の気配は無い。とりあえず枷を掛けたのだろう。

「これで一応は処置が済んだのね。」

白い鳥の言葉に龍は首を横に振った。

「この場では一旦収まったのだが、今後の事は分からん。リリスがこのサリナと言う娘と交流する限り、予期せぬアクシデントの起きる確率は下がらないだろう。だからと言って接近しないようにしろとも言えんからなあ。」

龍の言葉にリリスはうんうんと頷いた。

「会わないでいるどころか、接近する機会が増えると思いますよ。この子ってアグレッシブな性格だし、ひょっとすると新入生のクラス委員に立候補するかも知れません。そうなると毎日顔を合わせる事になりますよ。」

リリスの言葉に龍はふうっと深いため息をついた。

その龍に白い鳥が寄り添った。

「まあ、今ここで心配しても仕方が無いわよ。私も空間魔法が絡んだリリスの同行には注視しておくわ。」

白い鳥の言葉に龍は頷き、その場から消えていった。

それと共に時空の停止が解除され、目の前の情景に色彩が戻り、傍に居たサリナも普通に歩き出した。
その傍を白い鳥がスッと飛び去って行く.

「あれっ? 白い鳥が居ましたよ。」

サリナの声にリリスはフッと笑った。

「放課後だから誰かが連絡用に使い魔を飛ばしたのよ。」

「それって良くある事なんですか?」

「まあね、父兄との連絡かも知れないし、恋人同士の連絡かもよ。」

リリスの言葉にサリナはまあ!と言いながら、はにかむような笑顔を見せた。
その仕草と笑顔が如何にも12~13歳の少女らしい。

二人は賑やかに会話をしながら、地下の食堂に向かい、そこで軽食をオーダーした。
まだ夕食には早い時間なので、それほどには混んでいない。
程なく二人の座ったテーブルに、サンドイッチと紅茶が運ばれて来る。
その馥郁とした紅茶の香りに二人は心を和ませた。

サリナも貴族の子女なので、領地が僻地であるとは言いながら、それなりの豊かな生活をしているようだ。
学生生活への期待や不安を話す中、サリナはその話の中で学生会にも興味があると話していた。

う~ん。この流れだとやはりサリナはクラス委員に立候補しそうだわ。
この子本人はやる気があって良い子なんだけどねえ。

期待と共に若干の不安がリリスの心を過る。

その気持ちを隠してサリナとの談笑を続けていると、軽食を終えた頃にサリナの迎えがやって来た。
軍服を着た若い兵士だ。

「ああ、兄上。迎えに来てくれたのですね。」

サリナが笑顔を向けた相手は、体格の良い若い男性だった。
だがその容貌は・・・やはり黒目黒髪でアジア系の顔つきをしている。
ハギスと名乗る兵士はサリナの10歳上の次兄だと言う。

サリナの両親は二人の男の子を得た後に、どうしても女の子を欲しかったのね。

10歳の年齢差の次兄と言う表現で、ハギスの容貌の事を忘れ、ついサリナの実家の事情を思い浮かべてしまうリリスである。

挨拶を交わしサリナとハギスを見送ろうとしたその時、リリスは足首が疼き、熱くなってくるのを感じた。
それと共に異世界通行手形が発動の気配を見せているのが分かった。

うっ!
拙いわね。

あっ! そう言えば・・・。

リリスはその時になってようやく気が付いた。
ハギスもまたサリナと同様に、元の世界からの転移者の子孫だったのだ。
それはスキルに対する刺激が倍化された様なものである。

それにしても、ロキ様が制限を掛けてくれたはずなのに・・・。

そう思いながらグッと魔力の流れを押し留めると、異世界通行手形の発動を何とか食い止める事が出来た。
どうやらロキが掛けた制限は有効に働いているようだ。

ほっと安堵のため息を心の中で吐きながら、リリスはサリナとその兄を食堂の出入り口から見送ったのだった。




その日の夜。

ベッドで眠っていたはずのリリスはふと目が覚めた。
否、意識だけが覚醒したような状態だ。

真っ白な空間の中にただ一人立つリリス。

妙に思いながら前方を見ると、そこにうっすらと扉が現われた。

うっ!
これって前もあったわよね。
扉を開けろって言う事よね。

リリスはその扉に近付き、何も考えずに開けた。

その扉の向こうには・・・・・どこかで見たような街並みが広がっていた。
何処で見た街並みか特定は出来ないが、何故か懐かしさを感じてしまう光景だ。

やはりここに誘われたのね。

広い街路の両側に商店や住宅が並び、車や自転車が往来している。
それは紛れもなく元の世界の風景だ。

元の世界で時折、夢の中に出て来た風景。
あてどもなく彷徨っていた街並みだ。

ここを歩いているとあの店に出会ったのよね。

以前の記憶を思い出しながら、リリスはしばらく歩いた。

ふと見ると前方の小さな喫茶店の扉が目の前で少し開き、白い腕がその扉から出て来て手招きをしている。

あれって、あの子の手だったわね。

リリスはそう思いながら喫茶店の扉を大きく開き、その店内に入った。

店内は少し薄暗い照明で、仄かに珈琲の香りが漂っている。
アンティーク調の家具や調度品の並び、何処か懐かしい雰囲気が満ちていた。
今直ぐ座ってくつろぎたい。
そんな気持ちにさせてくれる店だ。

その店内にマスターと思われる初老の男性がカウンターの内側に立ち、カウンターの前に赤いワンピースを着た少女が立っていた。
この情景も以前の体験と同じだ。
見た目は小学校の高学年で黒髪のポニーテールが可愛い少女。
その笑顔がやたらに明るい。

「やあ、随分早くに再来店してくれたね。君がここに来るとしても相当先の事だと思っていたんだよ。」

マスターはそう言ってリリスをカウンターの席に案内し、リリスが座ると少女がその隣の席に座った。
少女は不思議そうな表情で、リリスの頭から足元までじっと見つめた。

「お姉ちゃんって別人になったみたい。どうしたの? 何かあったの?」

少女はそう言いながらリリスの手を握り、如何にも心配そうな表情でリリスの目を見つめて来た。
リリスを精査しているのかも知れないが、その手が柔らかくてとても暖かい。

「まあ! お姉ちゃんったら・・・・・。随分上に上がっちゃったのね。」

何の事だか分からない。

リリスの疑問に少女はしばらくニヤニヤと笑っていた。

マスターは珈琲をカップに注ぎ、白磁のソーサーに乗せてリリスの前に静かに出した。

「短時間にかなり上のステージに上がっちゃったと言う事だよ。」

そう言ってマスターはミルクと砂糖を用意し、リリスに珈琲を飲む様に勧めた。
馥郁とした珈琲の香りに、リリスの気持ちが癒される。

一口珈琲を飲むと、懐かしい気持ちに満たされていく。
リリスはそれを堪能してくつろぎ、椅子の背にもたれてマスターに尋ねた。

「私の人族としてのレベルが上がったって事?」

リリスの言葉にマスターは首を横に振った。

「レベルと言うのは人間と言うカテゴリーの中での話だよね。存在としてのステージを上昇したと言う事だよ。」

「それって人間離れしていると言う事ですか?」

リリスの問い掛けにマスターは困ったような表情を見せた。

「人間と言う枠組みを取り払って考えた方が分かり易いかな。」

何となく分かるようで分からない話だ。
そのリリスの表情を読み取って、マスターは言葉をつないだ。

「今はその事をあまり考えなくても良いよ。君には君の人生があるからねえ。」

「でも、ここを訪ねて来る為に埋め込まれたアクセスキーを、若干制御出来るように成って来たのは喜ばしいね。」

う~ん。
アクセスキーって異世界通行手形の事かしら。
制御出来ているとは言い難いわね。

リリスは困惑を隠せぬままに、出された珈琲の味と香りを堪能していたのだった。





しおりを挟む
感想 291

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
恋愛
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」  五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。  他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹
恋愛
常々、社交を苦手としていましたが、今回ばかりは仕方なく出席しておりましたの。婚約者と一緒にね。 その席で、突然始まった婚約破棄という名の茶番劇。 頭がお花畑の方々の発言が続きます。 すると、なぜが、私の名前が…… もちろん、火の粉はその場で消しましたよ。 ついでに、独立宣言もしちゃいました。 主人公、めちゃくちゃ口悪いです。 成り立てホヤホヤのミネリア王女殿下の溺愛&奮闘記。ちょっとだけ、冒険譚もあります。

【完結】元婚約者の次の婚約者は私の妹だそうです。ところでご存知ないでしょうが、妹は貴方の妹でもありますよ。

葉桜鹿乃
恋愛
あらぬ罪を着せられ婚約破棄を言い渡されたジュリア・スカーレット伯爵令嬢は、ある秘密を抱えていた。 それは、元婚約者モーガンが次の婚約者に望んだジュリアの妹マリアが、モーガンの実の妹でもある、という秘密だ。 本当ならば墓まで持っていくつもりだったが、ジュリアを婚約者にとモーガンの親友である第一王子フィリップが望んでくれた事で、ジュリアは真実を突きつける事を決める。 ※エピローグにてひとまず完結ですが、疑問点があがっていた所や、具体的な姉妹に対する差など、サクサク読んでもらうのに削った所を(現在他作を書いているので不定期で)番外編で更新しますので、暫く連載中のままとさせていただきます。よろしくお願いします。 番外編に手が回らないため、一旦完結と致します。 (2021/02/07 02:00) 小説家になろう・カクヨムでも別名義にて連載を始めました。 恋愛及び全体1位ありがとうございます! ※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。(10/27追記)

もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」 婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。 もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。 ……え? いまさら何ですか? 殿下。 そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね? もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。 だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。 これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。 ※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。    他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね

ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。 失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

処理中です...