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第三章栄華が終わる時
3.じいやが牙を剥く
しおりを挟む長年侯爵家を支え続けた執事長でもあるヴィエラは多くの人脈がある。
ランフォード家では老いぼれだと馬鹿にされ、素直に従う馬鹿な老人と罵倒を浴びせられて来たが、そんなの演技にすぎない。
アーデルハイドを守る為に表向きは大人しくしながら耐えしのびながら動いていたのだ。
「あの馬鹿が、問題を起こしてくれたおかげですよ。調査は最後までする必要がありませんでした」
「何…」
「あの鉱山での事故によりギルドマスターが踏み切りました。当然ですね?ギルドが死ねばいいなんて発言をして、何時土砂崩れが起きてもおかしくない場所に無理やり派遣したあの馬鹿娘は殺人の容疑がかかっている。貴様らは殺人者の親だ」
「殺人だと…」
「無実のお嬢様を罪人に仕立て上げたのだからな?格下の貴族の分際で高位貴族であるアーデルハイドお嬢様、そして今は亡きナンシー様を苦しめた以上、楽に死ねると思うなよ」
冷や汗を流すグフタスの腹部を杖で殴る。
「ぐぁ!」
「汚らわしい男が…貴様の末路は死はない。死ぬよりも辛い生き地獄だ」
ずっと足が悪いと言って杖を片時も離さなかったが、その杖が普通の杖ではなく魔法の杖と知り絶望する。
「貴様…何故魔法が」
「ああ、そうか。貴様は魔力がまったくなかったな?まぁ、貴様のような腐った男は女神から嫌われていただろうな…魔力も、教養もなく、箱庭でしか生きられない愚か者が…貴様は一度知るがいい」
これまで守られて生きて来た。
何一つとして、自分の力で成果を見せたこともない。
全ては侯爵家の財力により、恵まれた生活を送って来たのだから。
「私達が去った後は、取り潰しになるだろう。既に爵位返上は覆すことはならないだろう」
「馬鹿な!そんなことをすれば…大貴族であるランフォード家は!」
「ランフォード家にはサクラ様がいらっしゃる。あの方は北の魔女であり、王家も一目置く大魔女だ。ランフォード家の名が消えることはないだろう」
「そんな…」
サクラさえいればランフォードの名前は残る。
侯爵家が取り潰しになっても既に女伯爵の地位を得ているサクラならば自力で侯爵の地位を得る手段はある。
「では…私は」
「貴様等、いなくても問題ない。そもそも、ナンシー様は貴様と結婚などしたくなかった。一ミリたりとも愛してなどいなかったし夫婦の契りも屈辱だと泣いていたのだからな!」
「馬鹿な…」
グフタスはナンシーを上手く利用していると思っていたが実際は違った。
「愚か者が、アーデルハイド様は貴様とは一滴たりとも血は繋がっておらぬわ」
「は?」
そしてさらなる地獄に叩き落される言葉を聞かされることになる。
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