56 / 111
第三章栄華が終わる時
1.顧問弁護士
しおりを挟む鉱山での事件が起きた後に、ランフォード家はその責任を突きつけられた。
当然責任を取ることはできず、事件が起きた鉱山だけではなく、他の土地も差し押さえになった。
事故で行く不明になったギルド達にも親しい友人がいたので、彼らはランフォード家を責めた。
しかしグフタスは事故だと主張し、己の責任から逃げたことにより、少ないながらも庇ってくれた弁護士も愛層をつかし。
「侯爵様、私は貴方の弁護を降りさせていただきます」
「何を…」
「私は、当初貴方の弁護をするつもりでしたが…被害者の方々の対応の酷さは目に余ります。私も人です、心はありますし良心があります…貴方ほどの悪人は初めてですよ」
「貴様!私を愚弄する気か」
弁護士は下級貴族出身だった。
グフタスはこれまでの恩を受けておきながら許せないと思ったが。
「侯爵家の顧問弁護士として働いてまいりましたが、ずっと依頼料も滞っていました。これは罪になります。それでも黙ってきました…ですが限界です」
「待て…」
「新しい弁護士を御雇になればいいでしょう。まぁ、真面な弁護士は貴方を弁護しないでしょう?時期に裁判も始まりますからね…弁護士は勝ち目のない勝負には出ませんから」
グフタスは冷や汗を流す。
顧問弁護士の言う通りだった。
彼はこれまでの付き合いで弁護を引き受け、アーデルハイドを追放した一件で勝ち目がないのに弁護を引き受けてくれた。
他の弁護士には断られていたのだ。
「既に調査は終わり、アーデルハイド様の無実は証明されています。彼女が妹君を苛めた証拠は出ませんでしたし逆に妹君が姉君を虐げ、学園でも問題を起こした証拠が沢山出てきています」
「そんな…」
「前侯爵様は責任を取って貴族籍を除籍するとおっしゃられ、王族に謝罪の手紙を送っておられます。誠に素晴らしい方です」
「なっ…義父上が!」
前侯爵であるが貴族としての影響力は強いレイジは王族からの重宝されていたが、今回の事で責任を負い爵位を返上すると申して立てていた。
「ちなみにですが、今回の事件は前侯爵様の責任は一切ありません」
「何故だ!そんなこと…」
「事故が起きる一か月前に既に除籍の手続きをされていたからです。故にあの方は無関係になり、関係ないとされるでしょう」
アイシャが起こした事件は、火元責任者であるグフタスにすべてかかって来る。
しかしグフタスは、万一の時はレイジに責任を押し付け何とかしようと考えていたのだ。
「なんとか!義父に!」
「無理です。あの方は既に平民となり国を出られました。アーデルハイド様を追放になられた後に責任を取ると言われました」
「そんな!何処にいるか解らないのか…なんとか連れ戻して」
グフタスはレイジがどれだけ心労を与えられているか解っていない。
社交界ではレイジは心労のあまり病気になり、何処かで療養していると思っている。
半分は真実なのだが…
「レイジ様はご高齢です。大切なお孫様を失い傷心のあまり病で臥せっていてもおかしくありません…そんな方を無理やり連れ戻されるのですか」
「そんな大げさな…孫はもう一人いるではないか!アーデルハイドとて死んだわけではない」
あんまりの言いぐさに顧問弁護士のドギーマは耐え切れなくなった。
「少しでも情をかけた私が間違いでした!貴方のような悪人には弁護を受ける資格はありません」
「待て!」
捕まれた手を叩き、ドギーマはその場を去る。
「同じ弁護士達にも貴方の弁護はしないように告げておきますのでお覚悟さないませ」
「待て…待ってくれ!」
自らの手で首を絞めたグフタスを助けてくれる人はいなかった。
73
お気に入りに追加
5,504
あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

言いたいことはそれだけですか。では始めましょう
井藤 美樹
恋愛
常々、社交を苦手としていましたが、今回ばかりは仕方なく出席しておりましたの。婚約者と一緒にね。
その席で、突然始まった婚約破棄という名の茶番劇。
頭がお花畑の方々の発言が続きます。
すると、なぜが、私の名前が……
もちろん、火の粉はその場で消しましたよ。
ついでに、独立宣言もしちゃいました。
主人公、めちゃくちゃ口悪いです。
成り立てホヤホヤのミネリア王女殿下の溺愛&奮闘記。ちょっとだけ、冒険譚もあります。

【完結】元婚約者の次の婚約者は私の妹だそうです。ところでご存知ないでしょうが、妹は貴方の妹でもありますよ。
葉桜鹿乃
恋愛
あらぬ罪を着せられ婚約破棄を言い渡されたジュリア・スカーレット伯爵令嬢は、ある秘密を抱えていた。
それは、元婚約者モーガンが次の婚約者に望んだジュリアの妹マリアが、モーガンの実の妹でもある、という秘密だ。
本当ならば墓まで持っていくつもりだったが、ジュリアを婚約者にとモーガンの親友である第一王子フィリップが望んでくれた事で、ジュリアは真実を突きつける事を決める。
※エピローグにてひとまず完結ですが、疑問点があがっていた所や、具体的な姉妹に対する差など、サクサク読んでもらうのに削った所を(現在他作を書いているので不定期で)番外編で更新しますので、暫く連載中のままとさせていただきます。よろしくお願いします。
番外編に手が回らないため、一旦完結と致します。
(2021/02/07 02:00)
小説家になろう・カクヨムでも別名義にて連載を始めました。
恋愛及び全体1位ありがとうございます!
※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。(10/27追記)
もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」
婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。
もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。
……え? いまさら何ですか? 殿下。
そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね?
もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。
だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。
これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。
※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。
他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね
ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。
失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
妹ばかり見ている婚約者はもういりません
水谷繭
恋愛
子爵令嬢のジュスティーナは、裕福な伯爵家の令息ルドヴィクの婚約者。しかし、ルドヴィクはいつもジュスティーナではなく、彼女の妹のフェリーチェに会いに来る。
自分に対する態度とは全く違う優しい態度でフェリーチェに接するルドヴィクを見て傷つくジュスティーナだが、自分は妹のように愛らしくないし、魔法の能力も中途半端だからと諦めていた。
そんなある日、ルドヴィクが妹に婚約者の証の契約石に見立てた石を渡し、「君の方が婚約者だったらよかったのに」と言っているのを聞いてしまう。
さらに婚約解消が出来ないのは自分が嫌がっているせいだという嘘まで吐かれ、我慢の限界が来たジュスティーナは、ルドヴィクとの婚約を破棄することを決意するが……。
◆エールありがとうございます!
◇表紙画像はGirly Drop様からお借りしました💐
◆なろうにも載せ始めました
◇いいね押してくれた方ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる