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第二章南の島開拓
32.海の駅
しおりを挟む隣国まで野菜を運ぶのは困難だったが、海で売ればどうだろうか。
船旅をする職種の人間にとっては食料は死活問題で、特に不足がちなのが野菜に果物だった。
どんな魔法で凍結しても、空間魔法を使っても食材の鮮度を維持できない。
できるだけ新鮮な状態で食材を届けるのは困難で、船旅では不足がちな栄養を取ることも難しい。
そこで考えたのは前世でよく見た道の駅。
特産物を売っているお店を思い出しながら笑みを浮かべる。
「フレディー、海では野菜は採れないわよね」
「まぁ、海藻しかないな」
「しかも、魚だってホイホイ取れないわね。そんな時に船が遭難して食料が無くなったら大変よね?旅客船でもなんらかの事故があったら」
「そうだな…ってまさか!」
「ふふっ!貿易が難しいならまずは手短な所から!海の上で野菜を売るのよ!」
これは案外いけるんじゃないか?
まずは船で野菜を売って、その後果物や米を売る。
後は貨物船や巡回している船の居場所をある程度把握して、船で野菜を届ける!
「隣国まで届けるのが難しいなら海の上で商売よ…手数料も取れてば」
「ハイジ、悪人のような顔をだぞ」
「稼げるときに稼がないとね!」
ぐっと拳を突き上げ私は早速、新しいプロジェクトを進めた。
「この時期は貨物船が多いから、狙いやすいし。まずは手短な所から狙えばいいわ」
「俺は君の独特な発想に毎回驚かされるよ」
こうして海上で商売するべく野菜を売る計画と並行して、海上のレストランやカフェ等の計画を実行することになった。
船を少しリフォームして、貨物船や旅客船を狙うが大当たりだった。
「うふふ、大成功だわ」
「発想がすごいね。水軍ギルドの船を狙うとは」
「彼等の食事時を狙って美味しい香りをちらつかせながら、往復して回る。一度は様子を見に来るけど、二度目は好奇心に勝てな彼らは近づき、そこでニンジンをチラつかせる先方よ」
「彼らは馬か!」
フレディーは突っ込みを入れるも、作戦は合理的だった。
幸いにも島には水軍ギルドや、船乗りもいるのでアドバイスをもらうことができた。
肉や魚ばかり続き飽きている頃に絶妙なタイミングで野菜が売りに来たらどうなるか。
「これで、さらに商売する資金がたまったわ」
パチパチ!!
「ハイジ…もう計算をしているのか」
算盤で計算をするアーデルハイドは次なる作戦を踏み出す準備をしていた。
「さぁ、どんどん領地を開拓するわよ!夢のアイランドを作るのよ!エイエイエオー!」
「おー…」
疲れた表情でフレディーは力なく手を上げた。
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