婚約者に冤罪をかけられ島流しされたのでスローライフを楽しみます!

ユウ

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第二章南の島開拓

27.不測の事態

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幸せなはずの結婚式だったが、アーデルハイドの表情は浮かなかった。


「どうしたんだ?」

「いえ…」

フレディーは笑顔だったはずが少しだけ悲しそうにするアーデルハイドが気になった。


「私の結婚式に、サクラ伯母様やばぁやにターニャ達にも来てほしかった」

「サクラ…まさか北の魔女か?」

「はい、四大魔女の一人です。母の姉に当たり、流離の魔女となっている方です」


幼少期はまだ頻繁に連絡を取っていたが、王の勅命を受けて西の竜の討伐を命じられて音信不通状態だった。

「ばぁやも、間に合わなかったのね」

「急だったからな…乳母と侍女か?」

「はい、私が物心つく頃に暇を出されてしまって。侍女も一年前に邸から…」


フレディーはあまりの理不尽さに不快感を抱く。
屋敷内で孤立させるべく、使用人を次から次へと辞めさせた義母の義妹に殺意を抱く。

「一度、荷物を送ってくれた人だよな」

「はい、頻繁に連絡を取らなかったのか…取れなかったか」


考えれば考えるほど不安になって来た。


「大丈夫だハイジ。きっと何か…」

その時だった。
空に飛行機雲が見えたのは。


「なんだあれは!」

「空間が歪んでいるよ」

空気がぐにゃりと歪んだ場所から小さな飛行機がものすごいスピードで落ちて来た。


「おい!危ないぞ!」

「皆、逃げるんだ!」

「「「きゃあああ!!」」」

女性達は悲鳴を上げて急いで逃げる。
船の船首に突っ込み、そのまま船首は見事に折れてしまう。


「俺の力作ぅぅ!!」

「親方ぁぁぁぁ!」

大事な船が無残な姿になるのを見てペトロは気絶すする。


「なんだ!敵襲か」

「馬鹿言わないで、結界を敷かれているのよ…無理でしょ?私でも無理よ」

「ああ、レイジ様がいないとお前は結界を超えてくるなんて無理だったな。なんせ心が真っ黒だからな」


嫌味もつけて正論を言うフレディー。
この島には加護があるので通常の方法外で入ることはできないのだった。

それを空間を歪めて侵入するなど、よっぽどの魔力を持ってない不可能だった。


折れた船首に飛行機はひっかかり、中から体格の大きな風変わりな中年女性が現れる。


「なんだ…箒から火が」

「こっちに向かって来る気が」

一同、嫌な予感がした。


そしてその予感は的中し、そのまま突っ込んできた。


「おいおい!なんだ」

「巨大なおばさんが向かって来るよ!」

このままではまずいと思ったフレイアが声を上げると、モフモフがテーブルの下から姿を見せた。


「チー!行きなさい」

「ガォォォ!!」

「おい!なんでチーがいるんだよ」

披露宴が始まる前から潜んでいたようだが、今はそんなことよりもこちらに激突してくるのを防ぐのが先だった。



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