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第二章南の島開拓

30.オッサンの友情

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親しい人達に祝福された結婚式は素敵な思い出となった。



色々トラブルは続いたが、島に新たな繁栄がもたらされることになった。

特に結婚式のイベントはどれも素晴らしいもので。


「是非、君に仕事を依頼したい!今度のカーニバルで船を作ってくれ!」

「またかい!」

「誕生祭があるんだが、船でお祝いをしたんだ!もちろん子供達にも船を乗せてやりたいのだ!」


お祭り大好きジャンは、ペトロ達の素晴らしい技術に骨抜きにされた。


「子供にか…」

「貴殿達の腕を大工で終わらせるなど、芸術の神に対する冒涜だ!もっと評価されなくてはならん」

「そうか?」

腕はあるのに平民であることで蔑まれてきたペトロは同じ貴族に賛美され恥ずかしくなる。

貴族で評価してくれたのはギルドマスターや妻のソフィーとアーデルハイドの母親ぐらいだったのを思い出す。

「私は貴族とは言え、元宮廷料理人だ。身分はそれほど高くない」

「そうなのか?」

「だが、貴族絶対主義など下らんとは思わんか?私は貴族平民関係なく、神から才を与えられた者は評価されなくてはならないと思っている!ハイジも同様だ」


この時、大工ギルドの心が動いた。
当初は貴族なので身構えていたが、アーデルハイドを持ち上げられたので嫌な気はしなかった。


「私はハイジ程の優れた女性は知らん」

「当たり前だ!お嬢はすごく賢いんだ」

「おい、お前ら…」

沈黙を守っていた弟子達が声を上げる。

「お嬢は、昔から頑張り屋だったんだ」

「俺らみたいなのにも優しくて…」


「グスン…」


幼少期からアーデルハイドの成長を見守って来た身としては、今でもあの事件は許せなかった。

今も殺してやりたいし、もし目の前いモーギュストとアイシャがいたら間違いなくハンマーを振り下ろしているだろう。


「そうか、貴殿達もハイジが好きなのだな」

「あたぼうよ!」

「私もだ。ならば仲良くなれるのではないか?私もハイジが好きだ…娘のように思っている」

ジャンを見て弟子達は涙を浮かべた。
思いは同じで守りたい人も同じだったのだから。


「「兄弟!」」


ここに新たな友情が結ばれた。


「ああ、また変な集団ができたよ」

「おまけに暑苦しいオッサン集団だ」


既に農家の数名はアーデルハイドの親衛隊が結成されている。
彼等も似たような組織を作るのが目に見えているような気がした二人は嫌な予感しかしなかった。


「頭が痛いぜ」

「ああ…」


二人の不安は的中し、後にジャンと共にアーデルハイドを見守る会が結成され。

後に、アーデルハイドの警護を彼らがすることになるのだった。


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