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第二章南の島開拓
23.結婚式
しおりを挟む青い空を見上げ、島の住民はお祭り気分で大騒ぎする。
広間では盛大に行われた結婚式。
今まで見たことがない程の豪華で華やかさな結婚式だった。
「こりゃたまげた!」
「すごい綺麗だな」
広間には美しい薔薇が咲き誇り、花弁が舞っている。
噴水は吹き出し、幻想的な光景に島の住民は大喜びだった。
「見ろ、噴水からビールだ!」
「すげぇな!」
噴水の色が黄金色に変わり、ビールが流れる仕組みになっている。
「この仕掛けは…」
「俺の弟子には土木ギルドがいる。そいつに頼んで少しいじったんだよ…なぁに、ちょっとした余興だ。本番は夜だ」
「本番?」
ニヤニヤ笑うペトロと背後で人相の悪い若いギルドが並んでいる。
「どう見ても破落戸に見えるんだけどね…」
「人相は悪いが、気はいいぜ?まぁ、元はスラム街出身の奴もいるが」
「安心できないだろ」
どうして前侯爵夫人はそんな連中を雇ったのかと思ったが、アーデルハイドを見るとなんとなく想像ができた。
「もういいよ。この際私も妥協する」
「そうこなくちゃな!」
彼等に常識なん手意味はないと思ったステラは諦めていた。
そして結婚式本番に、広間に主役の二人が現れる。
「ああ…綺麗だぞハイジちゃん!」
「くっ、別嬪だべ!幸せになるんだべよ」
「母ちゃん、俺泣きそうだ」
ジャンや、農家の人達は涙ながらに声を上げた。
バスケットの中に入っている花を投げて祝福をしていた。
そんな折、変な団体がいた。
「なんだ、サーカス団なんて呼んだのか」
島の住民が妙な格好をした団体を見て告げる中、フレディーとステラがビクつく。
「ステラ、あのサーカス団みたいな恰好をしているのは」
「言うんじゃないよ、本人達は完璧だと思っているんだ。フレデリック様は気づいていたんだね」
「気づくだろ。普通に」
島の住民達は、今日の為に態々呼んだのだと思い込んでいる。
「ぐす…フレディー。我が弟よ」
「ああ、なんて立派な姿。涙が止まりませんわ」
「ああ、フレディーが普通に結婚してくれた」
「愛しの孫よ、幸せになるのだぞ」
王家一同、変装してこっそり結婚式に参加していた。
いくら辺境地でも、顔を知っている者もいるので配慮しての事だったが、まったく意味がない。
逆に悪目立ちしていた。
「あのピエロは…」
「なんで隣国の先帝が来ているのかね…いくら孫が可愛いからって」
一人体格の良いピエロがアコーディオンを奏でながら涙を流していた。
「大体、何でアコーディオンなんだい」
「趣味らしいですな」
「くっ、隣国の英雄と呼ばれた皇帝陛下がアコーディオンを持ってピエロの真似事なんて末代までの恥だよ」
実はあそこでアコーディオンを奏でいるピエロはラインハルトとフレディーの祖父であり、王妃の実の父でもあり同盟国の先代皇帝でもある。
今日は孫の晴れ姿を見るべく忙しいスケジュールを調整して参加したのだった。
「うむ、それにしても中々の美女だ」
「あの子は面食いですからな」
「まぁ、私の孫だから当然だ」
孫を見る目はとても優しく穏やかだった。
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