上 下
46 / 111
第二章南の島開拓

23.結婚式

しおりを挟む




青い空を見上げ、島の住民はお祭り気分で大騒ぎする。

広間では盛大に行われた結婚式。
今まで見たことがない程の豪華で華やかさな結婚式だった。


「こりゃたまげた!」

「すごい綺麗だな」


広間には美しい薔薇が咲き誇り、花弁が舞っている。


噴水は吹き出し、幻想的な光景に島の住民は大喜びだった。

「見ろ、噴水からビールだ!」

「すげぇな!」


噴水の色が黄金色に変わり、ビールが流れる仕組みになっている。

「この仕掛けは…」

「俺の弟子には土木ギルドがいる。そいつに頼んで少しいじったんだよ…なぁに、ちょっとした余興だ。本番は夜だ」

「本番?」


ニヤニヤ笑うペトロと背後で人相の悪い若いギルドが並んでいる。

「どう見ても破落戸に見えるんだけどね…」

「人相は悪いが、気はいいぜ?まぁ、元はスラム街出身の奴もいるが」

「安心できないだろ」


どうして前侯爵夫人はそんな連中を雇ったのかと思ったが、アーデルハイドを見るとなんとなく想像ができた。

「もういいよ。この際私も妥協する」

「そうこなくちゃな!」


彼等に常識なん手意味はないと思ったステラは諦めていた。


そして結婚式本番に、広間に主役の二人が現れる。


「ああ…綺麗だぞハイジちゃん!」

「くっ、別嬪だべ!幸せになるんだべよ」

「母ちゃん、俺泣きそうだ」


ジャンや、農家の人達は涙ながらに声を上げた。
バスケットの中に入っている花を投げて祝福をしていた。


そんな折、変な団体がいた。


「なんだ、サーカス団なんて呼んだのか」



島の住民が妙な格好をした団体を見て告げる中、フレディーとステラがビクつく。


「ステラ、あのサーカス団みたいな恰好をしているのは」

「言うんじゃないよ、本人達は完璧だと思っているんだ。フレデリック様は気づいていたんだね」

「気づくだろ。普通に」


島の住民達は、今日の為に態々呼んだのだと思い込んでいる。


「ぐす…フレディー。我が弟よ」

「ああ、なんて立派な姿。涙が止まりませんわ」

「ああ、フレディーが普通に結婚してくれた」

「愛しの孫よ、幸せになるのだぞ」


王家一同、変装してこっそり結婚式に参加していた。
いくら辺境地でも、顔を知っている者もいるので配慮しての事だったが、まったく意味がない。

逆に悪目立ちしていた。

「あのピエロは…」

「なんで隣国の先帝が来ているのかね…いくら孫が可愛いからって」

一人体格の良いピエロがアコーディオンを奏でながら涙を流していた。

「大体、何でアコーディオンなんだい」

「趣味らしいですな」

「くっ、隣国の英雄と呼ばれた皇帝陛下がアコーディオンを持ってピエロの真似事なんて末代までの恥だよ」



実はあそこでアコーディオンを奏でいるピエロはラインハルトとフレディーの祖父であり、王妃の実の父でもあり同盟国の先代皇帝でもある。


今日は孫の晴れ姿を見るべく忙しいスケジュールを調整して参加したのだった。

「うむ、それにしても中々の美女だ」

「あの子は面食いですからな」

「まぁ、私の孫だから当然だ」


孫を見る目はとても優しく穏やかだった。


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

わたくし、異世界で婚約破棄されました!?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:78pt お気に入り:3,846

所詮、愛を教えられない女ですから

恋愛 / 完結 24h.ポイント:30,537pt お気に入り:3,970

婚約破棄ですか....相手が悪かったですね?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:78pt お気に入り:72

婚約者を妹に譲ったら、婚約者の兄に溺愛された

恋愛 / 完結 24h.ポイント:489pt お気に入り:1,171

国王陛下に激怒されたから、戻って来てくれと言われても困ります

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:56pt お気に入り:2,368

異世界召喚に巻き込まれたのでダンジョンマスターにしてもらいました

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:99pt お気に入り:3,516

婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7,632pt お気に入り:293

処理中です...