婚約者に冤罪をかけられ島流しされたのでスローライフを楽しみます!

ユウ

文字の大きさ
上 下
39 / 111
第二章南の島開拓

16.小さな綻び

しおりを挟む


どこの国でも不作の季節がある。
特に天災の影響で食料が不足た時は、大問題となっていた。


王都では商人に貴族が食料を大量に買い占め、その食料を倍の値段で売ったりすることも少なくない。

他にも隣国で大きな戦争や、はやり病で食料の不足になった時も、これみよがしに食料を見せつけ商売をする悪徳商人も存在する。


今の時期は悪徳商人が動きやすい時期でもあった。
現在イングリッド王国では東北地方で作物の不作が続いていた。

それに輪をかけ、今年は雨が少なかったことや、観光客も少なかったので赤字の一途をだどっていた。

しかし昨年までは不作の時期を見越していたが、その人物が良くなったことで大打撃を受けていた。

あげくの果て、今まで他国とも貿易をしていた領地だったが、いきなり契約を打ち切ると宣告を受けた。


「どういうことだ…我が侯爵家と契約を打ち切りたいとは!」


ランドール侯爵家にて、大量の手紙が送られ。

現在当主代理である、グフタス・ランドールは声を荒げていた。


手紙には、今月で契約を切りたいという商人に、これまでラン―ドール家の特産物で貿易をしていた他国から一切の貿易を絶つ手紙が送られていた。

手紙には、アーデルハイドが当主とならないのであれば契約は打ち切らせてほしいとの手紙が書かれていた。


「馬鹿な…いきなりそんな!」

これまで懇意な関係だった商会がこんなあっさりと裏切るなんてありえないと思ったが、アレスタ商会はアーデルハイドの母が立ち上げ、その後はアーデルハイドが引き継いできた。

レイジが手助けをしていたとは言えど、アーデルハイドが主となって商会を動かしていた。

侯爵家のバックアップがあるから上手くいったに過ぎないと思っていたグフタスだったが、大きな間違いだった。


アーデルハイドは商会とかかわりのあるお得意様には、細やかな気配りを行い。
ドレスを製作する職人達にも気配りを忘れずにいい働きをしてもらうように心がけていたが、グフタスや義母のマイラは彼らを消耗品のように扱っていた。

彼らの間に信頼関係はなく。
何より、アーデルハイドの母が直接スカウトした人材でもある。


アーデルハイドとも親しくしていたし、彼等も娘のように思っていた。

なのに、今回の騒動を聞いて彼らは激怒した。
アーデルハイドの無実を主張しようとするも、相手は侯爵家故に、逆らえば解雇されたり、職人として働けないように脅しをかけられたりもした。

特にアーデルハイドと親しかった者はモーギュストに、睨まれる羽目になりひどい仕打ちを受けたりもした。

アーデルハイドが大切にしていた物を土足で踏み込み踏み荒らす行為を平然とするモーギュストに、強欲で欲しいものはどんな手段も使うアイシャを見て彼らは直ぐに解った。


アーデルハイドは嵌められたのだ。
首謀者はこの二人かもしれないが、両親も加担している。

そう思うと許せなかったが、このまま辞めて泣き寝入りをしたくないので復讐を胸に誓った。


そして現在、古くからの付き合いのある取引先にそれとなく情報を流して契約を打ち切るように動いていたのだった。


「何故だ…何故」

頭を抱えながら不良品の返品を叩きつけられ多額の借金を抱える羽目になったグフタスを職人達は冷めた目で見ていたが、こんなのは序の口だった。


彼らの復讐は今始まったばかりだった。

そしてさらに悪いことは続く。

「旦那様、大変です!西の領地の鉱山で土砂崩れが…!」

「なんだと!」

「土木作業をしていた者達が大けがを負い、火元責任者の旦那様に責任を問うと仰せられてます!」


多額の借金はさらに膨れ上がり、グフタスはさらなる窮地に追い込まれていた。

しおりを挟む
感想 291

あなたにおすすめの小説

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
恋愛
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」  五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。  他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹
恋愛
常々、社交を苦手としていましたが、今回ばかりは仕方なく出席しておりましたの。婚約者と一緒にね。 その席で、突然始まった婚約破棄という名の茶番劇。 頭がお花畑の方々の発言が続きます。 すると、なぜが、私の名前が…… もちろん、火の粉はその場で消しましたよ。 ついでに、独立宣言もしちゃいました。 主人公、めちゃくちゃ口悪いです。 成り立てホヤホヤのミネリア王女殿下の溺愛&奮闘記。ちょっとだけ、冒険譚もあります。

【完結】元婚約者の次の婚約者は私の妹だそうです。ところでご存知ないでしょうが、妹は貴方の妹でもありますよ。

葉桜鹿乃
恋愛
あらぬ罪を着せられ婚約破棄を言い渡されたジュリア・スカーレット伯爵令嬢は、ある秘密を抱えていた。 それは、元婚約者モーガンが次の婚約者に望んだジュリアの妹マリアが、モーガンの実の妹でもある、という秘密だ。 本当ならば墓まで持っていくつもりだったが、ジュリアを婚約者にとモーガンの親友である第一王子フィリップが望んでくれた事で、ジュリアは真実を突きつける事を決める。 ※エピローグにてひとまず完結ですが、疑問点があがっていた所や、具体的な姉妹に対する差など、サクサク読んでもらうのに削った所を(現在他作を書いているので不定期で)番外編で更新しますので、暫く連載中のままとさせていただきます。よろしくお願いします。 番外編に手が回らないため、一旦完結と致します。 (2021/02/07 02:00) 小説家になろう・カクヨムでも別名義にて連載を始めました。 恋愛及び全体1位ありがとうございます! ※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。(10/27追記)

もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」 婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。 もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。 ……え? いまさら何ですか? 殿下。 そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね? もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。 だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。 これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。 ※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。    他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね

ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。 失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

妹ばかり見ている婚約者はもういりません

水谷繭
恋愛
子爵令嬢のジュスティーナは、裕福な伯爵家の令息ルドヴィクの婚約者。しかし、ルドヴィクはいつもジュスティーナではなく、彼女の妹のフェリーチェに会いに来る。 自分に対する態度とは全く違う優しい態度でフェリーチェに接するルドヴィクを見て傷つくジュスティーナだが、自分は妹のように愛らしくないし、魔法の能力も中途半端だからと諦めていた。 そんなある日、ルドヴィクが妹に婚約者の証の契約石に見立てた石を渡し、「君の方が婚約者だったらよかったのに」と言っているのを聞いてしまう。 さらに婚約解消が出来ないのは自分が嫌がっているせいだという嘘まで吐かれ、我慢の限界が来たジュスティーナは、ルドヴィクとの婚約を破棄することを決意するが……。 ◆エールありがとうございます! ◇表紙画像はGirly Drop様からお借りしました💐 ◆なろうにも載せ始めました ◇いいね押してくれた方ありがとうございます!

処理中です...