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第二章南の島開拓
10.楽しく宴会
しおりを挟むその日、歓迎会を行った。
とは言え、豪華なものではない。
「ささやかですが」
庭にテーブルを運び、ジョッキを用意した。
宮廷料理のようなコースメニューにでてくるような食前酒ではなかく、驚く一同。
「これは?」
「麦芽酒です」
貴族等はワインを好むのだが、庶民はが身近な酒は麦芽酒と呼ばれる酒だったが、常温で飲むのが多いが、冷やして飲むことを進めたことで、島一番の麦畑を持つ農家が改良し名を改めることになった。
麦農家の主の名前がビルで妻がルーシーだったので、二人の名前を合わせてビールと名付けられた。
「冷たくて美味しいわ」
「すごい飲みっぷりだな」
一気飲みをするフレイアは酒豪だった。
実は王妃も酒豪で、フレイアの親族は酒好きだった。
「お代わりをくださる?」
「底なしか…」
悪態をつくフレディーは舌打ちをしながら、皿に乗っている枝豆を食べる。
「これは?」
「大豆か?」
「いいえ枝豆ですわ」
「エダマメ…」
聞きなれな言葉に戸惑いながらも、手に取るレイジ。
「どうやって食べるんだ?」
「こうやってお召し上がりくださいませ」
枝豆の食べ方を見せると、レイジは真似をして食べる。
「おお、この豆はソール豆に似ているが、こちらの方が甘みがあって美味い」
ソール豆とは西大帝国で取れる至高の豆と言われていた。
大豆とは異なり高級食材の一種で豆料理が盛んな西大帝国、アストロス帝国の特産物でもあった。
「うむ、ソール豆は食べやすく舌触りがいいのだが、私はこちらの方が好きだな」
「ビールとの相性が抜群ね。これももっと下さる?」
「フレイア、私の分まで食べないでくれ」
エディオスは食べる速度が速すぎる二人に自分の取り分まで奪われていた。
「これは食前に出したものです。今からどんどん出てきますので」
「本当?じゃあ、お願いするわ。ぼさっとしていないで給仕してくださる?」
「俺は給仕係じゃないんだが」
顔を引きつらせながらフレディーは文句を言うも、フレイアは鼻で笑った。
「ハッ、もてなすこともできないなんて…ダメな男」
――この女!
もし、アーデルハイドの親友でなかったらつまみ出してやりたい気分だったが、隣で嬉しそうにしている本人を前にすると何も言えなくなる。
その後も、アーデルハイドはバンバン料理を運び、フレディーも手伝いながら楽しい宴会は続いた。
すべてイングリッド王国では食べられないものばかりだった。
魚は新鮮で、彼らを喜ばせた。
笑顔が絶えないアーデルハイドを見てレイジは心から喜び隠れて涙を流していた。
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