婚約者に冤罪をかけられ島流しされたのでスローライフを楽しみます!

ユウ

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第二章南の島開拓

7.低次元な争い

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可憐な少女が巨大な熊を倒す姿を誰が想像できようか。


「ゴリラ女が」

「ん?」


ふと、視線を感じるフレイアはフレディーを見て顔を強張らせた。

「なんで貴方がいるのよ!不良王子!」

「それは俺のセリフだ。ゴリラ令嬢が」

「誰がゴリラよ!」


普段よりも言葉が乱暴のように思えるアーデルハイドはどうしたおだろうかと思う。

「私は…ハイジ!」

「ごきげんよう。フレイア」

困った表情をしながら笑うアーデルハイドに飛びつく勢いだったが見えない壁に阻まれた。

「なっ!何よこれ」

「バリケードだ」

「ふんっ!」

見えない壁でこれ以上、邸の中に入れないようにするも、意味はない。

得意の怪力で見えない壁を殴る。

「ゴリラめ」

「甘いわよ!この程度の壁で私を止められるとでも?貴方は魔力が使えないから攻撃魔法は使えないものね?」

「甘く見るなよ?魔法が使えなくても剣は使える」


「ハッ!」

フレディーを鼻で笑う表情は淑女とは言い難い。

「この私に勝てるとでも?今すぐその顔をぐちゃぐちゃにしてあげるわ」

「この怪力女が…ハイジに近づくな」

「はぁ?さっきから馴れ馴れしく私の親友に触れているんじゃないわよ!」

アーデルハイドの傍から離れようとしないフレディーにいら立ちながら脅しをかけていた。

「妻に触れて何が悪い?」

「ついに頭がおかしくなったのね」

「悪いが、事実だ。俺と彼女は身も心も結ばれた仲だ。君こそ、彼女と友達なんて勘違いも甚だしいな」


二人の間に火花が走る。

「このクソ王子」

「この野蛮人!!」


そして、フレイアが手袋を投げる。


決闘の合図が行われたが…


「このお馬鹿!!」

「やめないか!」


聞きなれた声が響いた。


「ステラ!」

「エディー!」


二人の暴走を止めるべく拳骨が落とされてしまった。


「何をしているんだい。まったく」

「フレイア、君は何をしているんだ」


呆れた表情で二人は力づくで抑え込んだ。


「久しいな」

「エディオス殿下!」


アーデルハイドは直ぐに膝を着く。

祖国の王太子殿下が何故隣国の辺境地にいるのかと思ったのだが。

「無事でよかった。ハイジ」

「殿下…」

安堵した表情で、愛称で名を呼ぶエディオスに申し訳なさを感じる。


「そんな顔をしないでくれ。私が国を空けていたばかりにこのような」

「いえ、そのような」

既に過去の事として考えているし。
追放になった原因はアイシャにあるので責めることなどできるはずもない。


「私も迂闊だった。視察中に、宰相は王宮を空けていたのだが…すべて貴族派が仕組んだことだ。君を良く思わない令嬢も共謀していた」

「やはりそうですか。まるで用意周到に私を断罪する場を設けるのはあの二人には無理です」

例え、権力だけで茶番劇を用意できても追放まで簡単にできない。
そうなれば協力者がいたと考えても不思議ではないし、普通なら両親がそうならないように庇うつもりだが、あの二人もアーデルハイドを切り捨てことは明白だ。


「すぐに捜索隊を飛ばしたかったが、聡明な君の事だ。大事に至ることはないと信じていたが」

信じていても不安は拭えなかったので安心はできなかったエディオスは心あら謝罪をしていた。

「母も君を心配していたんだ」

「王妃様…」

王宮でも優しくてもらった記憶はしっかり残っている。
普段から厳しい人であったが、同時に優しい人だったからこそ、今回のことに胸を痛めたのだろうと想像できた。


「本当に申し訳ありません」

「いや、君が謝るのは私ではないだろう」

「え?」

邸の扉が開き、そこから現れた人物を見て、アーデルハイドは驚いた。


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